2011年12月19日
後輩には、ぜひ「仕事の喜び、仕事をする楽しさを教えてあげたい」というベテランスタッフが多いですね。
「私は仕事をする喜びを知ってから、頑張るようになりましたから」と、自分の経験になぞらえて話してくれたのです。
では、その仕事の喜び・仕事の楽しさって、どこからくるものなのでしょうか?
私は、自分のところのスタッフに「あなたの仕事をする喜びって何?」と尋ねてみたら、9割方、同じような答えが返ってきました。
「人に喜んでいただけること」
「ありがとう!っていってもらったとき」
「顔をこわばらせてきた方が、明るい笑顔になって帰っていくのを見たとき」
「自分の頑張りをみんなが評価してくれること」
「自分が役に立っているんだ、ってことが実感できること」
「お客様から指名してもらえたとき」
「私がなくてはならない存在だと感じるとき」・・・など
これらの答えは大変興味深いと思います。
お金と引換えに時間労働を提供する、というような意識では、長い間にわたって良い仕事を続けることはできません。
瞬間的には「できるだけラクして、お金がもらえたらそれでいい」と考えることがあったとしても、人間としてそれってつまらないはずです。
窓際においやられたら、地獄を感じることになります。
みんな自分の存在価値を認めてもらいたい、と思っています。
自分には価値があり、みんなが(院長も、他のスタッフも、患者さんも)「私を必要としている!」ということを感じたい、これが働く人のホンネです。
ひと言でいうと、「自己重要感」という言葉になります。
「組織の中でのお役立ち感を実感できる!」ということが、働き続けることへの何よりの原動力になります。
そこで、私は自分のスタッフにはできるかぎり、自己重要感を感じてもらいたいと思い、言葉かけの仕方を工夫しました。
「どうしてもあなたに頼みたい仕事があるんだけど」「えっ、私に頼みたいことって何ですか?」と、相手はノリノリで聞いてきました。
“あなたに頼みたい仕事=私にしか頼みたくない仕事”と受け止め、興味を持ち、自分が認められたことをうれしいと思い、頼む前からその仕事をしてみたいと、意欲をかきたてられたのです。
この言葉づかいは有効だったので、違うバージョンも用意してみました。
「あなたにしか任せられない仕事があるのよ」
「あなたがやってくれるんだったら、すごくうれしいんだけど」
「あなただったら、お願いしたいことがあるんだけど」
「あなたが引き受けてくれると、すごく安心なの」……など
これらはとても効果的で、みんなが知らず知らず働き者になっていったのです。
これに対してNGな依頼の仕事は
「誰か△△してくれない?」
「誰でもいいから○○をやって」です。
人はこうといわれると、自分ではなくてもいいのだ、と意欲をそぎおとし、事務的にしかその仕事をやらないので、仕上がりの精度も落ちてしまいます。
仕事をし終わったあとの報いる言葉も重要です。
私は、次の4つの言葉を頻繁に使い、労をねぎらうことで、みんなが次第に働きモノになっていったこと気づいたのでした。
1:何かやってくれた後は、必ず「ありがとう!」
2:頑張ってくれたことが見てとれると、「頑張ってくれて“うれしい!”」
3:実際、かなり役立ったときには「助かったわ!」
4:その人ならではの仕事をしてくれたら「○○さんの“おかげ”でうまくいったわ!」
そこで、頭文字をとって「オートマチック話法」(商標登録済)と名づけました。
A=ありがとう
U=うれしい
T=助かる
O=おかげ
“自動的に”という意味での、みんなが自動的に働き者に変身するオートマチック話法としてまとめ、現場に定着させていきました。
これらの言葉を多用することで、部署のムードがとてつもなくよくなっていったのはいうまでもありません。
言葉は諸刃の刃です。
ヘタにつかえば、人のヤル気をなくさせるでしょうし、ヤル気を倍増させることもできるのです。
ぜひ参考にして、院内の雰囲気をますます良くしていってください。
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