2014年05月16日
これまで、尊敬語・謙譲語その1・謙譲語その2・丁寧語・美化語についてお伝えしてきました。
今回は、患者さんの気持ちを和らげる「クッション言葉の活用」を取り上げていくことにします。
会話においてクッション役をする前置き表現は、クッション言葉とも呼ばれます。
クッション言葉は、相手への配慮を表します。
依頼や断りなど、相手に負担をかける場合には、相手の気持ちに配慮していることを伝える言葉が入ると、相手に与える印象が変わります。
また、依頼や断わりの前にクッション言葉を入れることにより、自分自身の気持ちも落ち着きます。
患者さんだけではなく、院内の人同士の会話においても、このクッション言葉が入ると、相互に気持ちよいやりとりができるようになることでしょう。
では、場面ごとに、おすすめのクッション言葉をあげてみます。
(1)尋ねるとき
うかがいたいことがあるのですが、………
お尋ねしたいことがあるのですが、………
教えていただきたいことがあるのですが、………
お差支えなければ、………
(2)依頼するとき
恐れ入りますが、………
お手数をおかけしますが、………
ご面倒でなければ、………
お時間がありましたら、………
ご都合がよろしければ、………
お忙しいところ申し訳ないのですが、………
(3)断わるとき
申し訳ございませんが、………
ご意向にそえず、申し訳ございませんが、………
お役に立てずに申し訳ないのですが、………
お役に立ちたいのですが、………
ほかならぬ○○さんのご依頼をお断わりするのは心苦しいのですが、………
すぐに治療させていただきたいのですが、………
お辛いのがわかるだけに、心苦しいのですが、………
(4)相手に改善してほしいとき
私どもの説明不足だったかもしれませんが、………
言葉が足りなかったかもしれませんが、………
説明が十分ではなかったかもしれませんが、………
行き違いがあったかもしれませんが、………
(5)院内の人に対して
すみませんが、………
忙しいと思いますが、………
迷惑をかけて申し訳ないのですが、………
手が空いたときでいいのですが、………
診療時間後に、予約なしで飛び込んだ患者さんに断わる場合など、「診療時間は終了しました」のような事務的な言い方もありますが、自分の気持ちを表現し、「お辛いのがわかるだけに、本日治療できないのが申し訳ないのですが、………」のようなクッション言葉を加える言い方もあります。
クッション言葉で、患者さんへの配慮を届ける方法です。
患者さんへの気持ちを届けた後、後日の予約を取ったり、遅くまで診療している歯科医院を紹介したり、患者さんの意向を尊重した行動をとれば、「断わられた」という衝撃は緩和されることでしょう。
自分が無理な依頼をしていることを自覚していても、誰しも自分の依頼を断わられるのは、辛いものです。
クッション言葉を使い、やさしさやあたたかさの伝わる声で、患者さんの気持ちを包んでみてください。
NHK学園専任講師
山岸 弘子