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患者さんの心をつかむ電話での話し方6つの法則【1】声のトーンに留意すると患者さんに安心感を与える

2015年03月30日

お久しぶりです。山岸弘子です。

今回は6回にわたり、患者さんに好印象を与える電話応対の勘所についてお伝えしてまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。

(1) 電話の向こうの雰囲気が伝わってくるもの

電話をかけたとき、相手の職場の様子が手に取るように感じられたご経験はありませんか?

私は仕事柄、さまざまな職場に電話をかけますが、電話を通して、それぞれの職場の雰囲気が手に取るように伝わってきて驚くことがあります。

ときには、決まり文句である「はい、○○歯科医院でございます」という声だけで、その職場の雰囲気が伝わってくることもあります。

「はい、○○歯科医院でございます」「○○歯科医院です」という定型のフレーズにもかかわらず、印象には大きな差があります。

言葉が同じであるにもかかわらず、差が生まれるのです。何が違うのでしょうか?

言葉が同じなのですから、差を生み出すのは、言葉以外の要素です。

これは、パラ言語と呼ばれるもので、paralanguage、周辺言語とも呼ばれています。

話し手が聞き手に与える言語情報のうち、トーン、スピード、ボリューム、発音、ポーズ、声質などの言語の周辺的側面を指します。

このパラ言語――トーン、スピード、ボリューム、発音、ポーズなどの要素が、印象を形成しているのです。

歯科医院が林立する、ある地方の歯科医院から相談を受けたことがあります。
それは、新規問合せの電話がたくさんかかってくるが、いっこうに予約に結びつかないという悩みでした。

早速、受付の電話応対の声を聞いてみて、患者さんの気持ちが推察できました。

トーンが暗いのです。
予約に結びつかない→気持ちも暗くなる→予約に結びつかない、という悪循環に陥っていたのでしょう。

院長先生、受付スタッフとも、声に注意が向いていなかったので、声に注意を払うよう練習したところ、予約する人が増えていきました。
これは、電話応対の声が非常に重要であることを再認識した事例です。

(2) 歯科医院でのトーンはニュートラルで深みのあるものを

そこで、第1回は、トーンについてお伝えすることにします。

トーンは、声の高低や、明暗で表すことができます。
企業の電話応対では、「ソ」の音、「ラ」の音を出すように指導されていますが、歯科医院では、高い音、明るい音は必要ありません。

それよりも、ニュートラルな深みのある声が安心感を与えることでしょう。

歯科医院の電話応対で、何よりも大切なことは、患者さんに安心感を与えることです。

「この歯科医院ならお任せできそう」「安心して通えそう」「受付がやさしそう」「大事にしてくれそう」という安心感を与えるように心がけてみます。

今まで、無意識に声を出していた、無意識に電話応対をしていたという方は、声に注意を払ってみてください。

声に対する意識が高まると、周りの人やテレビに出演する人、声優さんなどの声のトーンにも注意が向かうようになります。

感じがよいと思う人のトーンを真似してみることも、声を磨くことになります。

また、家族などに話すときに、自分の声のトーンを変えて話してみるなどして、練習をしてみましょう。

声のトーンを変えることで、伝わり方に変化が見られたら、あなたの声が磨かれてきた証拠となります。

声のトーンの高低は、ハミングで練習してみましょう。
まず、両足を肩幅ほど開きます。足元から声を出すつもりで低い声でハミングをしてみます。
足元→お腹→胸→鼻→頭頂部と順番に響かせる場所を変えるつもりで、少しずつ高くしていきます。
体のどの部分に響かせる声が出しやすかったでしょうか。

研修で行うと、胸と鼻に響かせる高さが出しやすかったという方が圧倒的多数です。
この出しやすい音を基本のトーンとすれば、無理のない自然なトーンで話すことができます。
無理のない自然なトーンは、自分も快適ですし、患者さんをリラックスさせる効果もあります。

ご質問等がございましたら、山岸(yamagishihiroko@gmail.com)までお願いします。

NHK学園専任講師
山岸 弘子