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歯の保存と接着の最新情報【6】接着にとっての平成とは?

2019年03月15日

昨年末ごろからテレビでは「平成最後の〇〇」という平成時代を振り返る特集をよく目にするようになりました。

最終回となる今回は、「接着」にとって平成がどんな時代だったのかについて私見を述べさせていただきます。

もちろん「平成」とは日本独自の元号ですので、接着を平成という時代で区切るのには少し無理があるのかもしれません。
しかし、少し調べてみると接着にとっての平成は、激変の時代でした。
下表は、昭和から平成にかけて現在のクラレノリタケデンタルが開発したボンディング材をまとめたものです。
1社だけでもこれだけのボンディング材が開発されてきたことに驚かされます。
実際、平成の時代には毎年のように新しい接着材が登場して接着性能もどんどんと向上していきました。

私は新製品が出るたびにワクワクしながら実験室で接着試験を行ったものです。
平成元年(1989年)当時、私は大学院生でしたが、臨床で「クリアフィルフォトボンド」を使っていました。
接着システムは、リン酸で象牙質をエッチングし、水洗・乾燥後にボンディング材を塗布するというたいへん古典的なシステムです。
平成3年(1991年)には、「クリアフィルライナーボンド」が開発されましたが、酸エッチング処理、プライマー処理、ボンド塗布という3ステップシステムでした。
接着性能は向上しましたが、術式が煩雑で臨床家の評判があまり良いとはいえない製品でした。
しかし、2年後の平成5年(1993年)には、世界初の2ステップセルフエッチングシステムである「クリアフィルライナーボンドⅡ」が上市されました。
この時はじめて接着試験で象牙質がむしり取られることを経験しました。
高い接着のデータを見て、今までとは次元の異なる画期的な接着材が登場したことに感動したものです。
その後もボンディングシステムは改良を重ね、1ステップへと進化を遂げて現在も進行形です。

今から思えば、昭和の時代は象牙質接着の黎明期、平成の時代は象牙質接着の飛躍・発展の時代、まさに黄金期といえるでしょう。
接着の開発の多くはわが国発であったことが、接着を平成という時代で括れた大きな理由の一つでもあります。
2019年4月1日にはいよいよ新元号が発表されます。
接着が今後どのような進化を遂げるのか、次の時代もわが国が接着をリードできるよう皆さんで盛り上げていきましょう。

表 市販ボンディング材(クラレノリタケデンタル)の変遷
 

表 市販ボンディング材(クラレノリタケデンタル)の変遷(PDF)

朝日大学歯学部 口腔機能修復学講座 歯科保存学分野歯冠修復学
二階堂 徹