2019年03月01日
(1)0歳~成人期まで成長発育を学ぼう!
咬合誘導を実践するためには、いちばん重要なことは0歳~成人期まで成長発育を知ることである。
咬合誘導を学ぶために私が薦める本として、図1のとおり、『乳歯列期から始めよう咬合誘導』と『交換期を上手に利用した咬合誘導』(ともに一世出版)は必須である。
それと、貴重な症例を満載している『小児歯科カラーアトラス』(東京臨床出版)を持っておくとたいへん便利で患者さん説明用に使える。
咬合誘導を独学するならば、まずはこの3冊から始めよう!
図1 咬合誘導を学ぶために私が薦める本。
(2)症例に応じた治療法を学ぼう!
成長発育の基礎を学んだら、症例に応じた治療法を学ぼう。
それには入門編として、図2の『一般臨床医が手がける 乳歯列期から目指す”永久歯列期正常咬合”獲得への道』(ヒョーロン・パブリッシャーズ)が学びやすい。
今、直面して悩んでいる患者さんに関した項目から読み始めると入りやすい。
そして、全症例を通して読み、咬合誘導を治療法の概略を把握しておきたい。
その本を読破したら『GP・小児・矯正が共に考える 実践 早期治療』(クインテッセンス出版)を読もう。
本書は早期治療(≒咬合誘導)のアドバンスコース的な書籍となっている。
全身から考える早期治療の最前線、0歳から考える早期治療の最前線、早期治療の長期経過症例やトラブル対策まで、GPが考えている早期治療(≒咬合誘導)と小児歯科専門医および矯正専門医が考えている早期治療の差を知っておきたい。
本年保険導入された「口腔機能発達不全症」を学ぶにも最適である。
図2 症例に応じた治療法を学ぶために筆者が薦める本。
(3)咬合誘導に必要な各種矯正装置を学ぼう!
歯並びなどの顎顔面の限局的な問題解決(狭義の咬合誘導)するためには矯正テクニックは必須。GPの皆さんは床矯正装置だけとか、マウスシールド型だけしか知らない先生が多い。
それはゴルフ場をパター1本でまわるようなものである。
ぜひ図3の『これでわかる! 各種矯正装置の種類と使い方』(ヒョーロン・パブリッシャーズ)を読み、咬合誘導に役に立つさまざまな装置を知っておいてほしい。
本連載で何度も述べているが、スタンダードエッジワイズ法をベースとして、これらの矯正装置を症例に応じて咬合誘導に活用すれば鬼に金棒となる。
最近は床矯正装置を使用し、安易に歯列を拡大しているGPも多い。
歯列拡大する前に『GPのための咬合誘導.効果的な歯列拡大と床矯正の限界』(クインテッセンス出版)を読んでほしい。
歯列拡大の適応症から、歯列拡大の最適な時期、さまざまな拡大装置およびその歴史から利点・欠点まで、また豊富な長期症例が掲載されている。
図3 咬合誘導に必要な各種矯正装置を学ぶために筆者が薦める本。
第3回から第5回まで3回にわたって「咬合誘導を学ぶには?」というテーマで述べてみたが、現在でも一から実践できるまで咬合誘導を教えてくれるセミナーはない。
そのため、以上のように咬合誘導を行うために最低限度読んでおくべき書籍を紹介してみた。
咬合誘導はスタンダードエッジワイズ法などの矯正知識・技術の基礎がしっかりできていれば、書籍からでも独学できる。自分で学び、わからないところを単発のセミナーに参加して、小児歯科専門医に聞こう!
関崎歯科医院 院長
関崎 和夫