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実践 早期治療:咬合誘導から始まる生涯メインテナンス【4】咬合誘導を学ぶには?[2]

2019年02月14日

(1)咬合誘導と矯正の違い

前回は、咬合誘導には矯正知識および矯正技量は不可欠であることを述べたが、今回は咬合誘導と矯正の違いについて考察してみたい。


図1 咬合誘導と矯正の違い。

咬合誘導は不正咬合にならないための予防的要素が高く、矯正は不正咬合に対する治療という傾向が強い。
また、咬合誘導の多くは乳歯列期から混合歯列期の治療であるが、時には出産直後~乳幼児期の正しい哺乳の仕方、正しい離乳食の与え方、正しい寝かせ方による頭蓋骨の変形予防など、0歳児から始めることもある。
矯正は早くても混合歯列後期からで、基本的には永久歯列完成期から行うことが多い。 咬合誘導は図1のように、登山にたとえれば麓から登るようなもので、頂上までは長い長い道程をゆっくりと登っていく。
矯正は中腹から、できるだけ最短のコースを選び頂上までかけ登るイメージである。

咬合誘導は「不正咬合の芽を早期に発見し、可及的早期に正しい方向に位置づけること」であるから、一般的に症状が軽微のうちに成長発育を利用しながら、簡単な治療で済ませられることが多い。
しかし、矯正は早くても混合歯列後期から永久歯列期に行うため、不正咬合の芽が発芽し、永久歯列完成期にはさまざまな枝葉をつけ、矯正の難易度が上がっていることも多々あり、治療が複雑になりやすい。
しかし、咬合誘導は0歳~成人期まで成長発育を考慮していかなければならず、成長発育が予想つかないことも多く、途中で予期せぬさまざまな問題が出てくることが多い。矯正は永久歯列完成期であれば、ほぼ成長は終わっており、確定診断がつけやすく、その治療に対して最短コースを選択できる。 このように咬合誘導も矯正も、同じ頂上を目指しながら、まったく違ったコースを登っていく。
どちらにも長所・短所があり、どちらのコースが優れているとは言えない。

(2)咬合誘導は独学できる!
矯正は専門医からしっかり習わなければ、それらの矯正知識や技術を習得することはできない。
しかし、咬合誘導はスタンダードエッジワイズ法などの矯正知識・技術の基礎がしっかりできていれば、書籍からでも独学できると私は思っている。

私が咬合誘導に興味をもったのは1990年頃であり、その当時、咬合誘導に関する講演会やセミナーは皆無に等しく、咬合誘導に関する書籍はたいへん少なかった。
しかし、今はどれを読んでよいのかわからないほど、咬合誘導関連の書籍は増えている(図2)。
これらの書籍の中にはたいへんすばらしい書籍も多いが、残念ながら読まないほうが患者さんのためになるという書籍もある。
一番良いのは良きも悪しきも、これらをすべて読んで、一番自分にあった咬合誘導を見つけ出し、それを実践していけばよい。
しかし、それを試行錯誤し実践できるGPはほぼいないだろう。


図2 最近ではこれだけ多くの咬合誘導関連の書籍が出版されている。

以前、ある勉強会で咬合誘導を教えた際、「矯正書籍を含めて咬合誘導を学ぶには何を読んだらよいですか?」と聴講生に聞かれ、図2の書籍の中から最低限読んだほうがよいだろうと思われる書籍を15冊リストアップし、薦めたことがある。
そしたら、なんとその聴講生から、「その中で1冊だけ読むとしたら何がいいですか?」と聞かれ、二の句が継げなかった……。
咬合誘導を1冊で学べるなら苦労しない。
咬合誘導を学ぶにも王道はない!

次回は咬合誘導を独学するには何を読んだらよいか?
最低限、読んだほうがよいだろうと思われる書籍を紹介する。

関崎歯科医院 院長
関崎 和夫