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実践 早期治療:咬合誘導から始まる生涯メインテナンス【2】咬合誘導は健康寿命の延伸する!

2019年01月17日

(1)咬合誘導とは

咬合誘導を簡単に言えば、「不正咬合の芽を早期に発見し、可及的早期に正しい方向に位置づけること」である(図1)。

図1 筆者が実践した咬合誘導。

また、咬合誘導には狭義と広義があり(図2)、狭義は「不正咬合の早期発見・早期治療により正常な永久歯咬合を導こうとするさまざまな手段」をいい、一般歯科医師の先生方が思っているいわゆる「咬合誘導≒小児期に行うやさしい矯正」で、広義は「正しい咬合への誘導のための、狭義の咬合誘導を含む、包括的な小児歯科的処置」である。

図2 広義の咬合誘導と狭義の咬合誘導。

(2)口腔機能発達不全症でさらに咬合誘導が重要視されている
近年は幼児から学童の口呼吸(鼻呼吸不全)、舌癖、態癖などを原因とする不正咬合の増加とそれにともなう摂食障害、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害やアレルギー疾患など、命にかかわる問題がクローズアップされている。

それらの問題は、出産直後~乳幼児期の正しい哺乳の仕方、正しい離乳食の与え方、正しい寝かせ方による頭蓋骨の変形予防、幼児期における正しい食べ方(食育)、正しい呼吸の仕方(息育)、正しい姿勢を早期に指導し、矯正治療やMFTを併用することにより、エビデンスのある論文はまだまだ少ないが、その治療や予防効果が上がることもわかってきた。

厚生労働省もこれらの問題を重視しており、本年度の診療保険改正において小児の「口腔機能発達不全症」という新たな病名と診療報酬点数が追加された。
国を挙げて歯並びなどの顎顔面の限局的な問題解決(狭義の咬合誘導)にとどまらず、包括的に早期に乳幼児~小児にかかわる処置(広義の咬合誘導)をますます重要視して行こうという時代になってきている。

近未来の歯科医師は、う蝕・歯周病の治療~予防だけでなく、成長発育期に口腔機能を健全に発達させ、成人期にはその口腔機能維持を保ち、高齢期にはそれらの低下を防ぎ、健康寿命の延伸に貢献していかなければならない(図3)。

図3 健康寿命延伸のために重要となるライフコースアプローチの観点。

関崎歯科医院 院長
関崎 和夫