2018年04月02日
皆様こんにちは。
東京都世田谷区で開業しております、岩野義弘と申します。
新潟大学歯学部を卒業後、
日本大学歯学部歯周病学講座にて伊藤公一先生の下で13年間歯周病学を学び、
今年開業7年目を迎える歯科医師です。
本コラムでは「日々のペリオが10倍楽しくなるコツ」をテーマに、全6回にわたってお話しさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1回は、「歯周治療に不可欠なチーム力」と題してお届けいたします。
歯周病は、歯周病原細菌が原因で発症する慢性感染性の炎症性疾患です。
同時に、糖尿病と同様の生活習慣病の面もあわせもちます。
そのため、感染の除去とともに生活習慣の改善が必須となります。
そこで重要になるのが、ともに働くスタッフの力です。
スタッフとチームを組んで、患者さんの健康をサポートする、そういう姿勢が求められます。
今回は、いかにしてスタッフのモチベーションを上げ、
チーム力を向上させていくかについて、当院での取り組みを例に考えてみたいと思います。
1)滅菌消毒の徹底
開業当初から考えていましたのが、滅菌消毒の徹底です。
当院ではクラスB滅菌器、クラスS滅菌器、ホルマリンガス滅菌器を導入し、
スポルディングの分類に従った交差感染のない安全な歯科医療の提供に努めています。
それは患者さんのみならずスタッフの安全にも寄与します。
スタッフも他院で働く友人とお互いの医院環境について話し合います。
彼らが自信をもって、良い環境で働いていると言えるような環境づくりが理想です。
2)勉強会への参加
当院歯科衛生士は、毎週の院内勉強会のみでなく、2か月に1回予防の研修会に参加しています。
そこでは参加者が持ち回りで症例発表を行い、長時間ディスカッションをします。
なかには多くの講演・執筆をされている歯科衛生士もおり、
臨床上のテクニックや心構えを教わり、有意義な時間を過ごしています。
そのような活躍する歯科衛生士へのあこがれもまた、
モチベーションの向上に寄与しているのではないかと感じています。
3)学会発表
先日歯科衛生士たちは、それぞれ学会でポスター発表を行いました。
もちろん、準備は大変でした。
ただ、緊張しながらも多くの方にご意見をいただけたこと、
がんばって成し遂げたことは、本当に彼女たちの財産となったようです。
終了後の乾杯は最高のひとときでした。
日々取り組む姿勢がさらに変わったように思います。
4)気持ちよく働ける環境
いくらやる気があっても、頭ごなしに注意されれば、気分を害するものです。
私は極力スタッフを叱らないようにしています。
相手の目を見て、できるだけていねいに話し合うようにしています。
注意するにも伝え方が重要です。
相手の行動変容がなければ、まったく意味がありません。
一生懸命働いてくれることは当然のことでなく、本当にありがたいことなのです。
お互いに気持ちよく働ける環境が大事だと思います。
5)伝えることの大切さ
お金はもちろん大切です。
休日をつぶして学会や勉強会に参加してくれたり、残業してくれたりしたら、
相応の手当は出します。
ただ、それとともに大事なのは、
「休みなのに勉強して偉いね」
「この点が最近すごく良くなってきたね」
と、言葉にして伝えることだと思います。
そして、些細なことでも笑顔で「ありがとう」と伝えること。
もちろん、心から思っているからこその言葉ですが、
伝えることで初めて相手の心にも響くのではないでしょうか。
6)ともに向上するために
いくら報酬を得たり、言葉をかけてもらったりしたとしても、
院長自身がスタッフから一目置かれていなければ、結果に結びつきません。
私のメンターである伊藤先生には、
とても厳しく指導していただきましたが、そこには説得力がありました。
人一倍努力をして、多方面で活躍されている教授に対して
尊敬の念をもっているからこそ、厳しくてももっとがんばろうと思えました。
院長自身が多方面で頑張っている姿を見せることは、
とても大事なことだと思います。
それがあって初めて言葉がスタッフの心に響き、行動につながります。
自分と同じ方向を向いて、ともに向上し、患者さんのためになりたい、
良い医療を提供したいと考えてくれる仲間とともに、
チームとして取り組んで初めて歯周治療は成功するのです。
日々のペリオが10倍楽しくなるための、
まずはそこがスタートポイントだと思います。
岩野歯科クリニック
岩野義弘
⇒ http://www.iwano-dc.com/