MAIL MAGAZINE メールマガジン

【5】ダブルコードテクニックをマスターする!

2017年09月04日

皆さん、こんにちは。

東京都千代田区で開業しています、土屋賢司です。

前回は、印象採得時に重要となる歯肉圧排法について解説しました。

今回は、ダブルコードテクニックのステップにおけるポイントをみていきたいと思います。

まず、ダブルコードテクニックを行うまでの一連のステップを確認しておきましょう。

●グロスプレパレーションから最終形成へ

上顎前歯部の補綴を例にとって流れを説明します。

はじめに補綴装置を除去します。

その際、その支台歯形成の状態を確認します。

歯軸どおりに形成がなされていない場合も多いため、
以前このコラムでも解説したように、支台歯形成の原則に沿って形成します。

補綴装置除去時はグロスプレパレーションとなります。

その後、一定期間をおいて最終形成を行いますが、
生活歯の場合は段階的に形成を行い、可及的に歯髄の保護に努めます。

最終形成後は、一次圧排糸を挿入し、やや縁下にマージンを設定し最終支台歯形成の理想的最終形態をイメージしながら形成します。

つづいて、プロビジョナルレストレーションをウォッシュおよび調整を行い、装着後は数日おきます。

それによって歯肉がより成熟してくるのを待ちます。

その後、最終形成へと移行します。

プロビジョナルレストレーションを除去する際は、
セメントのウォッシュアウトがないかを確認します。

同時に、歯間乳頭部に炎症がないかも確認します。

いよいよ歯肉圧排操作です。

はじめに一次圧排糸の挿入ですが、
私は、探針のボディ部分を用いて、
それを歯肉溝内に沿わすようにしながら挿入する方法をとっています。

親指・人差し指・中指を用いて探針を回しながら沿わせていくのがポイントです。

なお、作業時間の目安としては、一次圧排の場合、
1歯あたり1分程度となります。

上顎6前歯でしたら6分程度となりますが、
最初はもっと時間がかかるかもしれません。

つづいて、二次圧排糸の挿入です。

一次圧排同様、探針のボディ部分を歯肉溝内に沿わすように二次圧排糸を挿入していきます。

その際、一次圧排糸があらかじめ挿入されているため、
二次圧排糸が浮き出てくるのを防ぐため、圧排糸の端に近い部分をエキスカベータで押さえながら挿入していくとスムーズにできます。

二次圧排の場合、1歯あたりの作業時間の目安は2分程度となります。

上顎6前歯でしたら12分程度です。

前回も解説しましたが、二次圧排糸は印象前に取り除くのが前提のため、
圧排糸の先端を”のりしろ”としてつかみやすい状態にしておくのがコツです。

二次圧排糸を取り除くと同時に印象していくイメージをもつことが大切です。

ここではアシスタントの役割も重要で、
トレーに印象材を盛っていくタイミングをイメージできるよう指導しておくとよいでしょう。

二次圧排挿入後、その状態で5分ほど待った後、
二次圧排糸の除去に移行します。

スムーズに、そして歯肉溝を傷つけないように撤去することが大切です。

今まで解説してきたステップをきちんと行うことで、
まったく出血のない状態で印象採得に入ることが可能となります。

ぜひ、ご自身の臨床でも応用してみてください。

早いもので、次回はいよいよ最終回となります。

連載のまとめとともに、
補綴治療の精度をワンランクアップさせるためのポイントをお伝えしたいと思います。

どうぞお楽しみに。

土屋歯科クリニック&Works
土屋 賢司
http://www.tdc-andworks.com/