2007年11月19日
■ 経営戦略 ■
前回からの続きになりますが、この医業利益を増やすということを、今の医院規模でやりとげるか、スタッフを増員するかという判断が、もうすでに経営戦略のひとつなのです。ただ、戦略であることを意識するかしないかによって結果も変わってくるのです。
「なんか最近スタッフもしんどそうだし、1人増やすか!」と言ってスタッフを採用されるのと、こういう“目的”達成のために1人スタッフを増員しますと宣言されるのとでは、結果が異なってくるのは不思議なことでもなんでもないのです。
「しんどそうだし・・」となると、今の仕事を+1人でわけあい各人の仕事量を減らすことを考えるのは自然なことですし、こういう“目的”のためとなると、その目的のための効果的な仕事配分を考え直すことになります。
■ 積み重ね ■
クリニックで「経営戦略」というと、院長先生は医業にはなじまないとお考えになるかもしれません。けれども、例えば、スタッフと一緒に勉強会を開いて、キャンセルの持つ意味を考えることだけでも、効果は抜群にあるのです。
かんたんな損益分岐の話をして、30分のキャンセルがいったいいくらになるのか、をスタッフに理解してもらうのです。小さなことですが、積み重ねれば、すごい効果となって還ってきます。
例えば、予約が全部うまらない開業間もないA医院と損益分岐点をこえている予約がいっぱいのB医院があるとします。このA・B両方の医院に、キャンセルがひとつずつ起こったら・・・。
わかりやすいように、診療内容によって、1人あたりの単価が変わるなどの影響はないものとして考えてみてください。
どちらの医院も損失は同じでしょうか?
医業収益=固定費+変動費+利益であるところから、予約30分あたりの単価を割出します。固定費は、患者さんがあってもなくてもかかってくるので、A医院の損失は、30分あたりの利益分だけになります。
けれども、損益分岐点をこえているB医院は、30分あたりの医業収益分から変動費を引いた残りまるまるロスすることになります。同じキャンセルひとつでも、医院の状態によって、損失額はかわってくるのです。
リコールの電話一本の効果、キャンセルを防ぐための対策がどれだけ大事か、実感してみるとやりがいにもつながるのではないでしょうか。