2011年04月04日
歯科医院では、患者さんに直接に接するスタッフの顧客対応レベルや、ちょっとした配慮の有無が、患者さんの満足度に大きな影響を与えます。
スタッフ自身が働くことにやりがいを感じている歯科医院では、スタッフ自身の満足レベルが大きいことから、患者さんへの対応レベルが高まり、結果的に満足した患者さんが営業マン(口コミの発信源)となり、紹介での来院数が増加するのです。
このようなことからも、表面上のさまざまなエクスターナル・マーケティング(外部マーケティング)に取り組む以上に、内部顧客であるスタッフの仕事自体への興味を向上させることや、クリニック・院長自身への関係性を向上させるインターナル・マーケティング(内部マーケティング)を重視する必要があります。
内部マーケティングとは、アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラーが提唱する「経営陣と従業員との関係性」のことです。
内部マーケティングを実践するためには、院長自身が、主役はあくまでもスタッフであり、院長自身はそのサポーターであると認識することからスタートします。
歯科医院を「舞台」に例えると、経営者である院長は「舞台監督」であり、来院される患者さんは「お客様」であるといえます。
お客様を満足させるには、舞台の「主役」であるスタッフが、お客様を感動させることのできる演技ができるかどうかにかかっています。
舞台監督である院長は、事前に万全の準備をするなど、主役たちの演技をサポートすることしかできません。
しかし、多くの歯科医院の院長は、自身が舞台監督兼主役であり、自身が気持よく仕事ができて、かつ歯科医院の業績をあげるためにスタッフをどのように活かすか、という観点で経営にあたっているケースが多いようです。
これでは、スタッフ満足もはかれません。
スタッフたちが気持ちよく仕事ができる環境整備をすることこそ、業績向上には欠かせないのですが、そのような考えに至っていないケースが多いです。
たとえば、伝達事項のみの朝礼を実施しているということは、「スタッフを活かす」というよりも「どのように効率的にスタッフを使うか」という発想に、院長が無意識になっているのです。
また、スタッフの家族構成・誕生日・趣味を知らないような院長も、同様の発想であるといえます。
スタッフの1人ひとりに、今以上に関心を持ち、年単位・半期単位・月単位、週単位・日単位での個々のスタッフの成長をともに喜び、自己実現をサポートするという意識を持つことが欠かせません。
ある有名歯科医院では、改装コンセプトに「顧客満足以上にスタッフが働きやすい歯科医院づくりを!」をかかげて改装をすすめたほど、内部マーケティングに力を入れられていました。
スタッフ1人ひとりが、歯科で働く専門スタッフとして技術レベルを向上させ、1人の人間として成長し、目標達成のサポートをすることこそ、経営者の役割であると認識することが、結果的には、増患につながっていくのです。