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歯科医療におけるレベルアップ(4) 【「患」の字は「心に串が刺さる」と書く】

2003年10月06日

これまで述べてきましたように、これからの時代は、初診の患者さんの増加を期待するのではなく、継続的に診ていく再来初診の患者さんを増加させることが重要だと思います。

子どもの”心に借金”をしたまま治療が終了することは、未来の患者さんを失うことにもつながります。
 
 
話は変わりますが、筆者が子どもの頃、親からお使いを頼まれて買い物に行くと、二種類の店がありました。

一つは“子どもだから・・”という対応をしていた店。

もう一つは“子どもだけど・・”という対応をしていた店です。

今から考えると、前者の店はお客さんが少なかったし、いつの間にか店が変わっていました。後者は、当時からお客さんが多く繁盛していました。

このように考えると、子どもの気持ちを疎かにしてはならないことがわかります。

“子どもだから・・”ではなく、“子どもだけれど”、いや“子どもだからこそ・・”という対応が求められているのではないでしょうか。
 
 
でも、小児期からの対応の重要性については、十分理解できたが、どうしても泣かれると・・・・と言われるかもしれません。

子供の泣きに動揺すると、治療が甘くなりがちです。

そんな先生のために、どれだけ泣かれても腹が立たないコツを一つ、お教えいたしましょう。

このコツを知っただけでも、今回のメイルマガジンをご覧いただいた値打ちは十分あると思います。

筆者は、小児歯科医ですがそれでも、このコツをマスターするのに20年かかってしまいました。

コツは、単純なことでした。
 
 
それは治療中に泣くのは“子どもが悪い”と考えるのではなくて、“むし歯が悪い”と考えるようにします。

子どもが悪いと思って、治療を進めると子どもを味方にすることはできません。子どもの味方になるから、いつまでも来院してくれる患者さんとなりえるのです。

悪いのは、“むし歯”や“むし歯を引き起こした背景”だと考えるのです。
悪いのがむし歯だと思うと、不思議と腹が立ちません。

どうも私達は、患者さんを悪者にするクセを持っているようですね。

患者さんの”患“の字は”心に串が刺さる“と書きます。

私達の仕事は、心の串を抜いてあげることのように思うこのごろです。