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咬合調整とは?(足し算、引き算)

2002年07月15日

補綴物が、口腔内で安定した機能を発揮し持続するには、咬合の調和が最も大事であると言っても過言ではないでしょう。

義歯を口腔内に装着する際には、咬合調整を必ず行っておくのですが、時間の経過と伴にその咬合関係が変化してくる事があります。

歯冠補綴物や固定性のブリッジなどの場合は、支台歯の歯根膜などの炎症が生じた場合、歯牙の挺出が起き咬合の不調和が生じることがあるが、そんなに頻繁に起きる現象ではありません。

そして、補綴物の経時的変化、即ち金属やポーセレンの磨耗などは殆ど無いと想定しても良いので、咬合調整は高い所の削除(引き算)をメインにした処置であるといえるでしょう。

しかし、これがひとたび部分床義歯や総義歯のように、顎提粘膜で咬合支持をしなければならない補綴物では、顎提の吸収が生体の変化として起きます。

そして厄介なことに、既成の人工歯を有する可撤性義歯は、人工歯の咬耗や磨耗が経時的な変化として生じてきます。

それに、部分床義歯では、上記に述べた歯根膜の要素も加味せねばならないのですが、本稿ではその要素の無い総義歯についてだけ述べてみたいと思います。

顎提の吸収に関しては、リライニング等の処置を行いますが、その際材料の収縮などで予期せぬ高径の上昇が生じることがあります。

その際の咬合調整は、削除がメインになりますが、人工歯の磨耗や咬耗での咬合の不調和を補正または調整をする場合には、人工歯の咬合面の再製作(足し算)が必要になってきます。

その際には、ペースト状のコンポジットレジンなどを利用して、磨耗が起きた咬合面に盛り足すことが可能です。

咬合高径が大きく崩れてしまっていることが予想できるケースでは、咬合採得を行いその後、口腔外でコンポジットレジンを築盛しなければならないと考えています。

しかし、高径までは狂わしていないケースでは、口腔内でコンポジットレジンを築盛すれば、十分使用できる人工歯が出来ます。

その際の注意点は、出来るだけ人工歯とコンポジットレジンが確実に接着させるために、磨耗の起きた人工歯側をカーボランダムポイントで少し削除するか、サンドブラストした後アセトンでその新正面を拭いておくと良い。

そして、ボンディング材を塗布した後コンポジットレジンの築盛を行うと良いと思います。