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義歯成功のかんどころ

2002年03月04日

高齢者社会といわれ続けて今や、その言葉に超がつく時代になってしまいました。

そして数年前には我々歯科医は介護にまで参入することになり、歯科治療に介護にと、かなり研鑽を積んだつもりであったが、未だにその難しさに頭を悩ませています。

しかし、介護保険も導入され、それなりに社会的には、歯科がその役目を果たすべく条件が整ってきたので、今こそ我々の頑張りが正当に評価される時代にはなりました。

そこで、先ず我々がやらなければならない診療内容のなかでは、咀嚼機能の回復が大きなウェイトを占めています。

特に高齢者を対象にしていると、歯牙欠損症を、可撤性義歯で機能回復を試みる症例が多く、粘膜が菲薄化した高齢者の義歯での機能回復の困難さは多くの歯科医が感じていると思います。

そこで、このような高齢の患者さんが、少なくとも食事が出来るようにするためには、どの様に義歯を調整すればよいのか、また義歯を新しく製作する際に最低限確認しておく点などを中心に、何回かに分けてお話したいと思います。

それでは先ず欠損部顎提、すなわち加圧されると形を変化させるものを、どの様に再現するかという事を考えてみましょう。

我々開業医は日々診療している際に、「食事をすると義歯が顎提粘膜にあたって痛くなるので良くかめない。」などの訴えが患者さんからあると、ティッシュコンディショナーを用いて解決する策を知っている。

そして粘膜調整を行っている間に、患者の痛みも消失し快適に食事が出来だしたときのティシュコンディショナーの面を観察してみると、皺ひとつ拾わずにピカッと光った面をしている事に気が付きます。すなわち咬合圧などの機能圧が加わった時の顎提粘膜は、皺などが伸びた状態になっていると容易に想像ができます。

ならば、このような機能時の粘膜の形を再現してくれている面を、義歯床内面に使用しない手はないと私は思っています。

また、この面をダイナミックインプレッション面として使用することにより、リライニング後の予後はかなり向上しました。

「義歯製作時の印象採得は機能印象を」という話は、学生時代から何度となく聞かされ続けてきましたが、個人トレーを用いて、チオコールラバーで採る印象よりもはるかに、我々開業医にとってはこのティッシュコンディショナーの面を利用する方が、患者さんの満足度が高いので、私はこの方法を多用しております。

興味のある先生は是非実践してみてください。