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訪問歯科診療をうまく進める為の留意点【4】訪問歯科診療をうまく進めるコツ

2011年11月21日

実際の広報活動で、よく質問をされることの回答を紹介することにします。
広報活動の現場では、ケアマネージャーからよく質問を受けます。
そして、その質問はだいたい同じようなことを聞かれるケースが多いです。
そこで、あらかじめ良くある質問に対してお答えできるように準備しておくと、実際の質問への受け答えも、自信をもってできるようになりますし、それがケアマネージャーとの信頼にもつながります。
次に、よくある質問を3つ取り上げました。
皆さんもどのように回答すればいいのかを考えながら、読みすすめていってください。

【Q1】どういう方が訪問歯科診療を利用できるのでしょうか?

この質問の背景には「完全に寝たきりの状態でないと利用できないのでは?」といった考えがあると思います。
確かに、かつては「医科通院患者には認めない」「寝たきりでなければ認めない」などの解釈がありました。
しかし、平成14年の厚生労働省の疑義解釈等により、「個々の医療機関が通院困難であるかを判断して、通院困難であることが示されたら請求を行える」と認められることとなりました。
つまり、歯科医師の判断によって通院困難であるとみなされる場合は、訪問歯科診療を行うことができるわけです(もちろん、普通に通院ができる状態なのに訪問歯科診療をするのは、当然返戻の対象になりますので、避けてください)。

したがって、回答としては―― 「完全に寝たきりではなくても、歯科医師の判断により通院困難であると判断した場合には訪問歯科診療が可能ですので、訪問歯科診療できるかわからない方も一度お問い合わせください。
(もし、初回無料検診をしている場合は)初回は検診としてお伺いできますので、そのときに訪問歯科診療が可能か判断いたします」

【Q2】費用はいくらくらいかかるのでしょうか?

わざわざ自宅まで訪問にきてもらうわけですから、訪問歯科診療を利用されたことのないケアマネージャーやご家族は(訪問歯科診療は高いだろうなぁ・・・)と思っています。
しかし、実際に通院しての治療よりも高いので「いや、安いですよ」と答えるわけにもいきませんよね。
これに似たような質問に、「訪問歯科診療って高いでしょ!?」とか「1回あたりどれくらいの治療費がかかるのですか?」などがあります。

さて、どう答えればいいでしょうか?答えとしては、「安い」と思われるよりも、「想像していたほど高くない」と思われることです。
たとえば、訪問歯科診療の料金表を作成して、実際の費用を見てもらってもいいでしょう。
ただし、患者さんの負担割合や治療内容によって金額に違いが出てきますので、あくまで目安として伝えないと、後々のトラブルに発展する可能性もありますので、料金表の作成は注意してください。
また、初回訪問時に治療費の目安をお伝えしているので、その時に治療をすすめていくか決めていただいているとお話してもいいでしょう。

したがって、回答としては―― 「歯科医師や歯科衛生士がご自宅までお伺いしての治療なので、皆さん高いと思われますが、こちらの料金表を見ていただいても、思っていたよりも高くないという感想を皆さんお持ちになります。
また、初回訪問時にお口の状態をみて、だいたいの治療費をお伝えしていますので、その金額をお聞きになってから、治療をすすめていただくかどうかお決めになられてもかまいません」

【Q3】介護保険での請求はケアプランに含まれますか?

これは、訪問歯科診療を利用したことがないケアマネージャーがよくお尋ねになることです。
介護保険は、要介護度に応じて使える点数が決められていて、その点数内で要介護者の介護計画(ケアプラン)を立てます。
すでに、ケアマネージャーは利用者のケアプランを立てていますので、新たに訪問歯科診療の必要が出てきた場合に、今までのケアプランの中身を変更する必要があるのではないかと考えられるわけです。
しかし、訪問歯科診療で算定する「居宅療養管理指導」は、ケアプランとは別の算定になるため、ケアマネージャーが立てられたケアプランを変える必要がありません。

したがって、回答としては―― 「訪問歯科診療で使用する介護保険は、ケアプランとは別枠での算定になりますので、ケアプランを変更される必要はありません」

以上、ご説明した以外にも、広報活動を続けていると、いろいろな質問をお受けします。
中には、広報担当者では即答できない質問も当然出てきます。
そんなときは、わからない状態で適当な返答はせずに、しっかりと質問を医院に持ち帰って、改めて回答するようにしてください。
間違った即答よりも、一度調べた上での正確な回答をケアマネージャーも当然求めているわけですし、改めて電話・FAX・再訪しての回答のほうが誠実さが伝わり、結果的に信頼関係を築くことにもなるからです。

>>全国介護歯科協会 代表 前田 先生 http://www.kaigo-shika.com/