2013年05月17日
通常、キャンセルは、予約患者数に対して15%程度ありますので、売上の15%を失っていることと同等の影響があります。
キャンセルは、無断キャンセルが予約の5%、連絡があってのキャンセルが予約の10%を超えるようであれば危険信号です。
キャンセル率が、標準値よりも高い場合には、2つの側面からの対応策をとる必要があります。
キャンセルの予防と、発生した後の対応策がそれにあたります。
どちらも大切なのですが、キャンセルの発生を未然に防ぐことに注力することで、業績への影響を最小限に抑えたいものです。
【事前対策】
1.キャンセルを未然に防ぐための3つのポイント
(1) 初診時にキャンセル防止の意義を顧客と共有する
予約制を採用することで、治療計画に沿った質の高い治療を提供できること、また、お待たせすることなく治療を始めることで、治療の終了時間をあらかじめ想定できることから、通院された患者さん(顧客)は、治療後の時間を有意義に活用することができるようになってきます。
このようにサービスレベル向上へ寄与している予約制ですが、その意図を理解してもらうに至っておらず、多数のキャンセル顧客が存在する歯科医院が多いのも現実です。
そこで、価値観を顧客と共有するために、顧客1人ひとりへの効果的な会話例を紹介します。
■「予約制だと、お取りしている時間を○○さんのためだけに使えますから、他の患者さんの時間を気にすることなく、予定していた治療をしっかりと行うことができます」
■「治療に遅れると、治療時間が短くなるだけでなく、その他の患者さんの治療時間に影響してしまいます」<危機感訴求表現>
(2) 予約を守って来院していただいた顧客へ、感謝の気持ちを表現する
予約どおりにいつも来院してくれる顧客に対しては、
「いつも予約時間どおりにご来院いただいて、ありがとうございます」
「○○さんのように、いつも約束どおりにご来院いただけると助かります」
など、感謝の気持ちを表現しましょう。
そうすることで、時間を守ろうとする意識が芽生えてくるのです。
(3) 予約の顧客へ事前の電話を入れる
予約の確認の電話を前日、または2日前に行いましょう。
その際には、予約確認のための電話であることを表現するのは厳禁です。
いつも “FOR YOU”の気持ちで対応することが欠かせません。
「○○さん、○月○日○曜日○時にご予約をいただいておりますが、その後、何か変わったことはありませんか?」
「○月○日○曜日○時に、○○さんにお会いできますことを心より楽しみにしております。どうぞ、お気をつけてお越しください」
【事後対策】
2.キャンセルが発生した際に必要な2つのポイント
顧客からのキャンセルの電話があった際に、
「はい、わかりました」
とクリニック側の意図を伝えずに受け入れてしまうと、再発の危険性が非常に高くなってしまいます。
予約を大切にしているという意図を明確に伝えることで、結果が大きく変わってくるのです。
(1) キャンセルがあった場合の問答集をスタッフ間で共有する
■キャンセルが複数回にわたる場合の問答例
「それは、とても残念です。○○さん、当院に何か問題がありますでしょうか?」
「○○さんとのお約束のために、当院でできることがありましたら、何なりとお申しつけください。ご予約のために、私どもにできることは何かありますか?」
上記は、一例ですが「○○の場合には、どのように対応するのか」をクリニック全体で共有することで、飛躍的にキャンセルは減少していきます。
(2) 無断キャンセル者への電話確認をする
キャンセルの中でも、無断でのキャンセルが5%を大幅に超えるようでは、危険信号です。
無断キャンセルが発生した場合には、約束時間から一定時間が経過した時点で、受付担当者が電話で連絡をします。
連絡がつけば、その場で、次回のアポイントを取ります。
連絡がつかない場合には、その日の診療終了後に、連絡を入れるようにします。
その時に連絡がつけば、その場で、次回のアポイントをとります。
それでも、連絡がつかない場合もあるでしょう。
その時には、次の日に連絡をして、それでもつながらない場合には、1週間あけて、再度、連絡をしていきましょう。
1週間後に連絡がとれない場合には、最終的にハガキを郵送して来院を促進します。
株式会社デンタル・マーケティング
代表取締役社長
寳谷 光教
http://www.dental-m.co.jp