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生活者心理=患者心理を理解し、増患につなげよう【6】メリットを伝えるときには3つの証拠を駆使する

2013年01月18日

喉が渇いている人は、水を求め、お腹がすいている人は、食事を求める
――その求めているものを提供すれば、自然と受け入れてもらうことができます。
ですから、相手の心理を考えることはとても重要なのです。

ところが、多くの歯科医院では、医院が知ってほしい情報だけを伝えていることが多いようです。

昔、ビジネスの師匠に
「風邪で寝ている人に、食べものを差し入れするとき、ステーキとお粥、どちらを持っていく?」
と聞かれたことがあります。

私は、当然ながら「お粥です」と答えました。

すると師匠が
「風邪をひいているからお粥がいいというのは、あんたの勝手な思い込みだよ。もしかしたら、風邪は治りかけていて、肉を食べたいと思っているかも知れないだろう。だから、相手に聞いてから決めるべきなんだ。それが一番喜ばれる」
と教えてくれました。

この話をすることで、師匠は「相手の心理(気持ち)をしっかりと考えることが重要だ」ということを、私に理解させたかったのです。

自費治療の説明をするときも、同じです。

患者様は「医療のことは難しい」という抵抗感を持っているので、そのまま説明しても聞いてすらもらえません。 ところが、
「これからお話しすることは、あなたの今後を左右する重要な情報です」
ということを伝えると、聴く耳シャッターが開きます。
人間は自分に関係がある話だと、聞き、理解しようとするからです。
その上で、保険と自費治療の違いを説明すべきです。

ただし、保険と自費治療の説明をすると、自費のほうがメリットが多く、リスクが少ないという説明になると思います。
このように、片方だけ優れているという情報を聞くと、「本当だろうか?」という心理が出てきます。
「この人は、自費を売りたいから、そちらの良い部分だけをいっているのではないだろうか?」
と思ってしまうものなのです。

こういった心理を放置したままでは、自費の成約にはつながりません。
そこで、この「疑りの心」を解消するために、「私がいっていることは本当だよ」という証拠を伝えるのです。

証拠となるのは、
「第三者の声」
「数値的なデータ」
「公的な情報」
の3つです。

「第三者の声」とは、先に治療を受けた人の声ですね。
同じ立場で治療を受けた人の声は、信頼できますから。

「数値的なデータ」とは、たとえば「インプラント治療を受けた人の92%が、入れ歯の時より快適になったと答えています」とか、「セラミックにした人の中で85%の人が、笑顔に自信が持てるようになったと答えています」といったものですね。
人間は数値的なデータを信用する傾向があるので、かなり有効な手段です。

「公的な情報」とは、たとえば厚生労働省や歯科医師会、もしくは有名な医師など、社会的な立場がしっかりとしている人が、テレビや雑誌、それから論文など、公的なもので明言していたことです。
こういった論文に、この治療の有効性が書かれています、と説明することで信用されるのです。

こうした結果、患者様が「自費治療のほうが良いなぁ……」と思ったとしても、最後の一歩はなかなか踏み出せないもの。
なぜなら、決断には責任がつきまとうからです。自分の判断が正しいかどうか、不安になって決められなくなるわけです。

ですから、プッシュをしてあげること。

「販売の仕事をされていて人と接することも多いようですので、やっぱり見た目のキレイな、この治療がいいと思います」
「もし、私が○○さんの立場なら、この治療を選びますね」
という感じで、軽くプッシュをしてあげるのです。

患者様は基本的に医療関係者を尊敬していますから、そういった立場の人が、自分の立場になって軽くプッシュしてくれると、最後の一歩を踏み出すことができます。

このように患者様の心理をしっかり考えていれば、無理にすすめなくても、患者様のほうから自費を選んでいただくことができます。

大事なのは、大切な患者様の心理を考えるイメージ力、それがあれば、自費治療やリコール患者を増やすことも、口コミを起こすことも難しくありません。

ぜひ、これからは患者様の心理を意識して、対応や治療するように、心がけていただければと思います。

私の連載を、最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。

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