2015年10月05日
(1) アイメッセージではストロークが大事!
前回は、職場の良い雰囲気づくりのための3つの愛(愛声・愛顔・愛言葉)を取り上げ、3つ目の愛言葉では、アイ(I&愛)メッセージをお伝えしました。
アイメッセージは、より良い職場づくりには欠かせません。
さらに、効果抜群!の素晴らしいコミュニケーションスキルなので、最後にこのアイメッセージについてもう少し掘り下げてお伝えします。
アイメッセージには、より良いキャッチボールをするための土台づくり・環境整備が大切です。
まずは、より良いアイメッセージを展開するために、ストロークの存在を知っておきましょう。
ストロークとは、テニスでボールの打ち合いのことをいいます。
コミュニケーションの視点では、人への働きかけです。
決め球を打って、勝つことが目的ではありません。
いい球の打ち合いで、ラリーが長く続くことを心がけます。
落とした球は拾えばいいのです。
相手が一生懸命返してくれているのに、拾いに行く努力や姿勢も見せずにあきらめたり、ラリーを勝手に中断しないでくださいね!
ストロークには「プラスのストローク」と「マイナスのストローク」があります。
プラスのストロークは、相手が喜ぶ働きかけです。
褒める、共感する、お礼する、気持ちを伝える、そして笑顔、挨拶、傾聴など……。
マイナスのストロークは、相手がマイナスだと感じる働きかけです。
叱る、怒る、悪口、打つ、蹴る……。
次に、ストロークで留意する点をまとめておきましょう。
(2) もっとも避けなければならないのは「ノーストローク状態」
マイナスのストロークであったとしても、人はストロークを必要とします。
ストロークがないと心が折れてしまいます。
時々、診療室でも、わざと叱られるようなことをするお子さんをお見受けします。
このようなケースの場合、そのお子さんにストロークが足りてないことが多いものです。
ストロークは心の食べ物。
「ノーストローク」状態はいわゆる無視です。
これだけは絶対に避けなければなりません。
プラスもマイナスもストロークが足りないと、マイナスのストロークでもよいからほしくなるのです。
ですから、挨拶や返事が大切なのです。
無視するつもりもなかったけど、ついラインやSNSのメッセージに返事や返信するのを忘れていませんか?
とくに「既読」がつく場合はさらに配慮したいですね。
(3) プラスのストローク貯金をする
プラスのストロークは、自分も相手もたくさん欲するものです。
まずは相手に存分にかけて差し上げましょう!
「愛している! 大好き!」
「ありがとう! うれしい! 楽しい!」
「おはよう! おつかれさま!」
「すごくいい! 助かる! さすが! 素敵!」「嬉しい! 」……
愛顔(笑顔)、挨拶、拍手、ハグ、手紙、メール、メッセージ、傾聴など、言葉以外のプラスのストロークもたっぷりかけましょう!
あなたのプラスのストロークは、相手に貯金されるのです。
あなたのプラスのストロークで満たされた相手は、あなたのマイナスのストロークすら、受け入れてくれるようになります。
後輩を持ったり、上司になったり、親になったり、自分の成長とともに、ステージが上がることで、人に指導をする立場になります。
その場合、マイナスのストロークを与えることは避けられません。
そんな時、いかに相手に必要なマイナスストロークをキャッチしていただけるかが、とても大事になります。
相手にマイナスストロークをキャッチしてもらうためには、日頃からのプラスストローク貯金が大切なのです。
これはまるで磁石のようなのです。
プラス(+)のストロークでたまった体には、マイナス(-)のストロークがカチンとくっついてくれます。
マイナス(-)のストロークがたまった体には、新しいマイナス(-)のストロークが入っても、弾けてくっつきません。
(4) ストロークにはキャッチ力が重要!
私たち日本人は、プラスのストロークを投げることも受け取ることも苦手です。
とくに、受け取るのが苦手な方が多く目に留まります。
恥ずかしいからですね。
「褒め言葉(プラスストローク)」をせっかく相手がかけてくださっているのに、「いえいえ」「私なんか……」「とてもとても……」と、受け取っていないケースをよく見受けます。
せっかくのあなたへのギフトなのです。
まずは、キャッチしましょう。
プラスのストロークをキャッチしないのは、相手にも失礼です。
相手はあなたにギフトしています。
その相手のお気持ちを考え、ありがたくキャッチすることも思いやりです。
こうして、私たちの心の中にある幸せのコップ(自己肯定感)も満たされていくのです。
「いえいえ……、私なんかとてもとても……」といって手を振っているとき、あなたの幸せのコップは下向きになっています。
まずはご自身のコップを上向きにして、周囲のプラスのストロークを積極的にキ
ャッチしましょう!
(5) 私たちは患者さんを幸せにする仕事!
そのために、自分が幸せであること、その心の状態を整えること、セルフコントロールする力もぜひここで身につてくださいね。
3つの愛をお伝えしましたが、実は最後にもう一つのもっとも大切な「愛」が残されていました。それが「心」の愛です。
「愛心」(えごころ)とお伝えしています。
私たちが優しく思いやりに満ちた豊かな心を育てていくことが、医療人として大切なことであり、ご自身の仕事も、職場の環境もより良くしていく土台になります。
なにより、あなたが存分に幸せを感じられる心を育てていただきたいのです。
それが、内からあふれ、周囲の人に幸せが伝染し、職場の環境や雰囲気がより良くなっていきます。
ぜひあなたからの幸せのシャンパンタワーを意識してください。
6回のシリーズに、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
(株)オフィスウエーブ代表取締役
日本歯科プロアシスタントスクール(PAS)校長
澤泉仲美子
⇒ http://www.office-wave.jp/