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吉野流・自費率を高める6つの方程式【1】何のために患者さんに自費診療をおすすめするのか?

2014年12月24日

「自費率アップ」という言葉が使われるようになって久しいのですが、

「なぜ自費率アップするのですか?」

「何のために、患者さんに自費診療をおすすめするのですか?」

この質問に、明確に答えられる先生はおられるでしょうか。

この質問に答えずして、自費診療の提案はないと私は思っています。

「何のためにそれをやっているのか?」
――人間というのは、話しても書いても、行間からその心のうちが丸見えなんです。

「何のために?」「どういう理由で?」
――この部分をおろそかにしていては、自分の心が濁りますし、提案の切れ味が悪くなります。

また、スタッフに「先生、なぜ患者さんに自費診療をすすめなければならないのですか?」と聞かれたとき、口ごもってしまうようでは、信頼関係にも傷がつきます。

「自費率を高める6つの法則」の第1回目は「何のために患者さんに自費診療をおすすめするのか?」という部分に、深く切り込んでいくことにします。

以前、あるテレビ番組で「歯科医院は、経営のために患者さんに高額な自費診療を提案している」といった、現実をかなり曲解した内容が放映され、歯科界に大きな影響を与え、
「翌日キャンセルになったインプラントの総額は何十億円にものぼる」と、うわさがたちました。

しかし、これは、今まで歯科界が「何のために自費をすすめるのか?」「なぜ?」「その理由は?」といった部分を、自ら発信することを怠ってきたからです。
こちら側が正しい情報を発信していかなければ、世間からのつまらない誤解が待っているだけなのです。

使命感をもって、プロとして本当の情報を発信し、本来の意味を患者さんにきちんと伝えていくべきです。
間違っても、自費をすすめる理由は「歯科医院の経営のため」「歯医者の金儲けのため」ではないはずです。

予防歯科について情報収集をしていて、私も自費をすすめなければならない本来の意味に気づきました。

「抜歯の確率」という資料を見せてもらった時のこと。
そこにあったのは、保険適応の入れ歯、ブリッジといった治療方法を選択した結果、かなり高い確率で、歯を失うことにつながる、といった内容を如実に表現したグラフでした。

それに対して、自費の入れ歯、インプラントといった方法は、歯を失う確率が明らかに低かったのです。

歯科の究極の目的は「歯をもたす」こと、そして「できるかぎり自分の歯で食べ、心身ともに健康な人生を過ごしていただく」ということだと気づいたのです。

「お財布に負担がないから」といった理由で、患者さんに安易な選択をしていただいた結果、そこから始まるお口の中の崩壊については、私よりも、先生の方がよほどよくご存知だと思います。

しかし、患者さんの財布を勝手に心配して、「この人、お金なさそうだから……こっちでいいや」と、安直に保険適応の治療をおすすめすることに慣れてしまっていたという先生も、中にはおられるかもしれません。

今こそ、私たちが目指さなければならないのは「患者さんの歯をもたせる」ために、「自分にとってできるかぎり妥協のない治療を行っていきたい」、という使命感を持つことなのではないでしょうか。

目的は、患者さんの「歯をもたせること」であることを意識し直し、ここにフォーカスして、知識の乏しい患者さんに情報発信するんだという目線で、先生とスタッフがプロとして患者さんにお伝えしていくのです。

近所の患者さんが保険証をもってやってくる
――ここからスタートする歯科医院が多いと思います。

最初の壁は、先生が研鑽を積んだ上質な治療をせっかく提案しようとしても、「保険でいいです~、保険で!」という患者さんの言葉です。

それに対して、何といったらいいのでしょう?
「わかりました~、では、保険でやりましょう」という先生やスタッフがいたら、その方はとても冷たい人だと思います。
なぜなら、患者さんは情報がないため「保険でいいです~」といっているだけで、安易な選択から始まるお口の中の崩壊について、よくご存知ないのです。

人は「情報がなければ安いものを選ぶ」しかありません。
逆に「情報があれば、上質で高額なものを選ぶ」人が増えるのです。
ですから「保険でいいです」という患者さんに対しても、聞く耳さえもっていただけるのであれば、使命感をもってまずは情報提供していこうという姿勢で臨みましょう。

私だったらこんなふうに切り出してみます。

「もちろんです。保険適応の治療もできますよ。ご安心ください。で、今は、歯をもたせるためのいろいろな良い治療があるんです。保険適応外のものもありますが。将来が全然違ってきますので。
まずは、将来の参考に情報収集ということでもかまいません。一度、お耳に入れておかれませんか? どういった治療を選ぶのかは、あくまで◯◯さんのご自由ですので……」

このようにいって、歯をもたせるための上質な治療として、自費診療の話しをまずはしていく、ということです。

そうしたところ、「まさかの患者さんが『じゃぁ、それで』と、自費になってびっくりした!」という報告を、私がコンサルした全国の多数の歯科医院さんからいただいています。

まずは「使命感をもってプロとして情報提供する」でいきましょう。

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(社)国際医療経営学会代表理事
吉野真由美
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