2009年09月24日
こんにちは。
デンタルクリニック会計事務所の山下です。
最終回の節税ノウハウは「医療法人成り」です。
●売上がどれくらいになれば医療法人を検討すればよいのか?
まず、なぜ売上が上がれば医療法人を検討したほうがよいのかについて、簡単に説明していくことにします。
結論からいえば「所得税の税率よりも、法人税の税率のほうが低くなるから」です。
医療法人の場合、利益が800万円を超えれば、所得がいくらであっても、一律約37%の税率となります。
これに対し、個人の所得税は、前々回のメルマガでもご説明しましたように、所得が大きくなれば大きくなるほど、税率が高くなります。
所得税(住民税を含む)の最高税率は50%ですから、個人で利益を出すよりも、法人を設立して、法人で利益を出したほうが有利になるというわけです。
では、どれくらいの売上高があれば、医療法人を検討すればよいのでしょう?
これは、一概にはいえませんが、私の経験上、売上高が1億円以上になれば、医療法人にするメリットが大になることが多いようです。
●なぜ1億円以上だと医療法人にしたほうが有利なのか?
では、この売上高が1億円というのは、どこから出てきた数字なのでしょうか?
歯科医院の場合、利益率は平均すると30%ぐらいの医院が多いです。
すると、売上高が1億円あれば、利益はその30%の3,000万円となります。
利益、つまり所得が3,000万円の場合、個人の所得税率は約40%となりますが、医療法人の場合の税率は約37%ですので、法人で利益を出すほうが税金面では明らかに有利になります。
しかも、医療法人になれば、院長個人に対して給与を出すことができます。
この給与については、「給与所得控除」といって、一定の控除を使うことができます。
そのため、所得分散をすることで個人の所得税率も低くなり、医院の法人税と合わせたトータルの税金は大きく下がる、ということになるのです。
ただし、医療法人には、この税率以外にもメリットがありますが、デメリットも少なからず存在します。
医療法人を設立する場合には、この辺りの知識をしっかりと持った上で行っていただきたいものです。
なお、医療法人のメリット・デメリットの詳細については、拙著『キャッシュ
最大化計画』(クインテッセンス出版)をご覧になってください。
●終わりにあたって
先日、私は2名のクライアントさん一緒に、歯科医師会の医療法人設立説明会に参加してきました。
医療法人を設立するためには、必ずこの説明会に参加しなければなりません。
おそらく、とても混み合っているんだろうなあ、と思いながら参加したのですが、説明会に参加していた先生は、たったの10名ほどでした。
この医療法人設立の説明会は、大阪の場合、年に2回しかありません。
ということは、説明会を聞いた先生が、必ず医療法人にするということはありえないので、仮に半分の先生が医療法人を設立したと仮定すると、おそらく大阪府下で、医療法人にする歯科医院は年間たったの10件程度でしょう。
つまり、「売上1億円超え」の医院は、非常に少ないということがいえるのです。
ぜひ売上1億円を目指し、医療法人成りを検討してみてください!
>>山下先生のホームペ-ジ
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