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知ってトクする“節税”の知恵【3】お金の出ない最高の節税、「貸倒引当金」を活用する

2009年08月03日

こんにちは、デンタルクリニック会計事務所の山下です。

第3回目の節税ノウハウは「貸倒引当金」です。

 

●貸倒引当金とは?

貸倒引当金とは、期末において、未収となっている売上などについて、「もしかすると回収できないかもしれない」という理由から、その未収の金額に一定の割合を乗じた金額を経費にできる、というものです。

具体的な例をあげますと、歯科医院の場合、11月の社国保は翌年1月に、12月の社国保は翌年2月に入金になりますよね。

しかし、会計上は「権利確定主義」といって、「もらえることが確定しているものは売上としなさい」という規定があります。

そのため、この11月、12月の社国保は、期末で入金はされていませんが、その年の収入にしなければなりません。

ところがです。

このお金はまだ入金されていませんので、税法では「もしかしたら入金されないかもしれない」という理由から、この金額に対して一定額を経費に計上できるのです(実際にはまず間違いなく2ヵ月後に入金されるのですけどね)。

これを「貸倒引当金」といいます。

個人の歯科医院の貸倒引当金は、期末の未収金額の「5.5%」と決まっていますので、期末で未収になっている未収入金に、5.5%をかけた金額を経費とすることができます。

具体的には、11月の保険の請求分が300万円、12月の保険の請求分が400万円あったとすれば、
(300万円+400万円)×5.5%=385,000円
これを今期の経費とすることができます。

 

●「貸倒引当金」は1年目だけが大きく節税になる

しかし、貸倒引当金は、設定した年の翌年以降については、あまり節税効果が見込まれません。

なぜかというと、前期で設定した貸倒引当金は「貸倒引当金戻入」として、収益にしなければならないことになっているからです。

少しわかりにくいと思うので、具体的な数字を使って説明しますね。

平成20年の貸倒引当金が、上記のとおり385,000円でした。

そして、平成21年末の11月の保険の請求分が400万円、12月の保険の請求分が350万円だったとしましょう。

この場合、平成21年分の経費にできる金額は、次のとおりです。

(400万円+350万円)×5.5%=412,500円
ただし、前期の貸倒引当金385,000円は、「貸倒引当金戻入」として収入に計上しなければなりません。

つまり、385,000円が収益として計上され、412,500円が経費として計上されますので、その差額の27、500円に対する税金だけが節税となります。

期末の未収入金が前期と同じであれば、2年目の節税効果はゼロというわけです。

ただ、この貸倒引当金は、キャッシュが出ていかない節税ですので、何かモノを購入して節税をするというのとはワケが違います。

貸倒引当金を設定していない先生は、ぜひキャッシュが出ない、この「貸倒引当金」の節税を実行してみてください。

【チェックポイント】
確定申告書のうしろに、「損益計算書」という書類が添付されています。

その損益計算書の39番に数字が入っていなければ、貸倒引当金は設定されていません。

キャッシュの出ない節税ほど、医院にとってありがたい節税はありませんから、ぜひ今期から設定してみてはいかがでしょうか?

 

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