2009年08月17日
こんにちは。デンタルクリニック会計事務所の山下です。
第4回目の節税ノウハウは、「所得の分散」です。
●所得税の計算方法を理解しよう
現在、多くの歯科医院が「個人」での開業の形態をとっています。
個人の歯科医院の場合、一番大きな税金は「所得税+住民税」になるでしょう。
2009年現在、住民税は全員一律で10%なのですが、所得税の場合は、所得の金額によって税率が変わってきます。
では、どのように税率が変わってくるのでしょうか。
まず基本を押さえておきましょう。
所得税の基本は「所得が増えれば増えるほど、税率が上がる」というものです。
所得とは、歯科医院でいうところの「利益」のことを指します。
つまり、歯科医院で利益が上がれば上がるほど、税率は高くなるわけです。
これは「所得のたくさんある人は、それだけ税金を支払う能力があるので、たくさん税金を支払ってくださいね」という税法の考え方からきています。
●多くの先生が勘違いしている所得税の税率とは?
ただ、この所得税の税率について、間違えて覚えておられる先生が少なくありません。
どのような間違いであるかというと、「所得が1,800万円を超えれば、所得税率は40%になり、住民税の10%を合わせると、個人の税率は50%になる」というものです。
それでは、実際にそのような割合になるのか検証してみましょう。
まず、所得税の税率表を確認してみましょう。
所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 7,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超え 40% 2,796,000円
確かに、この表だけを見ると、1,800万円を超えると、所得税率は40%に見えます。
ところが、実際には、それぞれの所得のランクに応じて、控除額というものがありますので、たとえば、所得が2,000万円だった場合、所得税の計算は、2,000万円×40%-2,796,000円=5,204,000円となります。
所得2,000万円のときの所得税は5,204,000円です。
割合に直すと、5,204,000円÷20,000,000円=約26%となります。
これに住民税が10%加算されますので、個人の所得税・住民税は26%+10%=36%となります。
つまり、所得2,000万円のときの税率は、40%+10%=50%ではなくて36%となるのです(この実際の税率のことを専門用語で「実効税率」といいます)。
●所得が高くなったらどうすればよいのか?
では、所得が高くなったら、どのようにして節税をすればよいのでしょうか?
一番有効と思われる節税方法は「専従者給与」による所得の分散です。
専従者給与とは、配偶者などに給与を出して、それを医院の経費とする節税方法です。
たとえば、1,000万円の所得があるのであれとしたら、500万円の専従者給与を出していれば、先生の所得が500万円、配偶者の所得が500万円となります(実際には、給与については「給与所得控除」というのがありますので、配偶者の所得はもっと少なくなりますが、ここでは省略します)。
所得税は、それぞれの個人に対して課税される税金ですから、1人で1,000万円の所得があるよりも、2人で500万円ずつの所得があるほうが、トータルで支払う税金は少なくなります。
ただし、専従者給与の場合、
1.専従者の労務に従事した期間、労務の性質およびその程度
2.事業に専従する他の使用人および同種同規模の事業に専従する者の給与の状況
3.事業の種類・規模および収益の状況
からみて、相当と認められるものとなっています。
顧問の税理士さんと打ち合わせのうえ、検討をしていただければと思います。
【チェックポイント】
所得が高くなっている場合で、専従者給与を出していない場合、専従者給与を出して所得を分散することができないか検討してみましょう。
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