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成功事例に学ぶ歯科医院経営成功の鉄則【5】院長の印象・主観でスタッフの評価・賃金を決定していませんか?

2015年02月25日

(1) スタッフが経営に関心を持てば、必ず業績の向上に結びつく

“医は仁術”という精神は、今も多くの歯科医師に引き継がれていることでしょう。
とはいえ、歯科医院経営への関心が高まった今だからこそ、「医は仁術だから、目の前の患者さんに最善の治療をしていればよい」という考え方だけでは、実際には経営は成り立ちません。

仁術に偏ってしまい、数字で考えられない院長は、残念ながら、継続して的確な経営を続けることは難しいでしょう。

院長は経営者ですので、売上などの経営数値を追うことは当然ですが、医院を永続的に発展させるには、スタッフにも経営に関心を持ってもらう仕組みを取り入れる必要があります。

スタッフが歯科医院経営に関心を持つようになれば、治療やサービスの品質が高まり、必ず業績の向上に結びつきます。
その環境を実現するためには、評価や賃金の仕組みを機能させることが欠かせません。

(2) 業務レベルと賃金が連動した基準表をつくる

ある歯科医院で、他のスタッフにくらべてモチベーション高く、とても頑張っているスタッフが突然退職したというケースがありました。

後日、そのスタッフに退職理由を確認すると、「途中で目標を見失ってしまい、頑張ることに疲れて息切れした結果、退職を決めた」とのことでした。

こうしたことが起こるのは、評価や賃金を年功序列で決めるなど、院長の印象・主観で評価・賃金を決定してしまっていることが原因です。

残念ながらほとんどの歯科医院は、そのような状況なのです。

客観的な評価により賃金が決定する仕組みがない場合には、院長がいくら正しい考え方や働き方を教育してもうまくいきません。

評価や賃金の仕組みは、スタッフに“なってほしい具体的な像”を期間ごとに決定して、その基準をクリアすれば昇進や賃金に結びつくように、業務レベルと賃金が連動した基準表を作成することがスタートになります。

評価制度の基準表は、院長からスタッフに向けた「どのようなスタッフになってほしいのか」というメッセージであり、スタッフにとっては、どう頑張ればよいのかの道標となります。
この道標がないと、スタッフはどう頑張っていいかわかりません。

どの業務ができれば賃金が上がるのか、昇進するのかの基準を明確化する必要あるのです。基準があることにより、評価される側も納得性が高まります。

一方で、評価制度のある歯科医院も、評価の基準があいまいで、賃金や賞与を決める時にだけ活用しているケースが多いようです。

人間は評価されないと、前向きに取り組むことを望みませんから、やってもやらなくても評価が同じであれば、チャレンジしない選択をしてしまうのです。

「どうしてやらなくてはならないんですか?
頑張っても頑張らなくても給与は変わらないですから……」となります。

(3) 正しい評価が正しい序列をつくり、リーダーが生まれ、組織ができ上がる
では、どうしたら、スタッフが自分のこととして、業務を自らすすんでやるようになるのでしょうか?

それにはやはり、スタッフに望ましい行動が何なのかを明示し、その結果を評価することが一番です。

人は「その行動をすると、自分にとっていいことがある」と実感すると、自動的にその行動を繰り返し行うようになります。
その結果、スタッフは自然に成長し、医院の収益も上がっていくようになります。

つまり、スタッフ自身に業務をすすんでやってもらうためには、医院にとって行うべき行動を明確にし、その行動ができることを評価してあげればいいのです。

その評価制度により、スタッフの序列をつけることで、やがて組織ができ、その中からリーダーが育っていきます。

そのリーダーが、同じ思いを達成するための仲間をつくることにより、医院の考えと異なる考えを持つスタッフは、自然と組織を去ることになります。

評価する項目は院長が決めているのですから、そのリーダーは院長の理想像に近い人がなっているはずです。

(4) フラットな組織がなれあいの組織を生む

歯科医院では、フラットな組織が多くみられ、声が大きいスタッフが実権を握っていることが多く、規律のない、悪くいえば「なあなあ」な組織が散見されます。
悪いことをしても、悪いといえない組織です。

歯科医院経営を成功へと導くために、医は仁術を達成するためにも、この評価制度の重要性を認識し、納得性の高い制度を取り入れ、モチベーションの高い組織をつくることが必須なのです。

(株)デンタル・マーケティング 代表取締役社長
寳谷 光教
⇒ http://www.dental-m.co.jp