2014年12月23日
歯科医院では、院長の職人的な発想が起因して、さまざまな問題が表れてきています。
歯科医院が世の中に提供しているのは、歯科治療だけではなく、歯科治療を含んだサービス、つまり「来院者の期待を超える満足・感動」であるべきです。
業績が低迷している多くの歯科医院では、この根本的な考え方を理解できないのか、理解しようとしないのか、治療技術の向上に考えが偏っている傾向が顕著に見られます。
「最先端・最良の歯科治療を提供しているのにもかかわらず、患者がこないのはなぜだろう???」
このように、来院者が何を望んでいるのか、患者様視点で物事を考えることができず、職人的発想から起こる現状の問題に気づかないでいる院長を、今までたくさん見てきました。
歯科大学を卒業してからも、常に治療技術を学んできて、自分で開業となった際に、はじめて経営を学ぶのでしょうから無理もありません。
これから経営の鉄則を6回コースで解説していきます。
第1回は経営計画の意義について話をすすめていきます。
職人的発想で歯科治療を行い、実際のところ経営を行っていない歯科医院には次のような特徴がみられます。
ためしに該当する項目にチェックを入れてみてください。
いくつ該当するでしょうか?
□経営計画がなく、成り行きの経営になっている
□待ちの経営になっており、新規患者の開拓という意識が希薄である
□院長自体の目標数値に対する意欲が低い(目標達成への執着が弱い)
□スタッフと目標を共有できていない
□教育やトレーニングが不足しているためにスタッフの退職率が高い
□オペレーションマニュアルなどの基準がない
□採用計画がない
□スタッフリーダーを育成できていない
□数値を公開して全員で共有する風土がない
□現状に満足してしまい、危機感が希薄である
チェックが6つ以上の院長は、経営計画をつくることで、歯科医院の改革=BPRを試してみてはいかがでしょうか?
BPRとは、ビジネスプロセスリエンジニアリングの略で、ある目標(売上高・利益率など)を設定し、その達成のために業務の流れや組織を最適化することです。
BPRでは、次のような取り組みを実施していきます。
・現状の業務プロセスの洗い出し
・指標の数値化による問題が顕在化する仕組みづくり
これらの目標をどのように達成するのかという計画が、すべてのスタートになります。
次は、どのように経営計画を作成していくのか、その5つのステップを説明していくことにします。
STEP1:過去の結果から問題点、現状の経営課題を抽出する
STEP2:経営理念を再度見直する
STEP3:医院の将来像ビジョンを描く
STEP4:将来像を数値化する
STEP5:数値を達成するための行動計画を作成する
経営計画とは、院長自身が自院の将来像を考え、考えた結果を紙に落としこんだものです。
あくまでも計画ですから、そのとおりにいかないケースも多々ありますが、計画どおりいかないから作成することに意義がないわけではありません。
できない時に要因を分析して、次に活かすことも可能ですし、計画どおりにいかなかったとしても、自らが立てたゴールに向かって、目標達成への執念を持って経営に取り組むことが重要なのです。
経営者の役割のひとつとして、計画まで到達するための設計図(成功ストーリー)をスタッフと共有して、理解・実践してもらうことが欠かせません。
このイメージが、どれだけ鮮明になっているかに比例して成功の確率も上がります。
成功ストーリーがあれば、スタッフにも次のようなメリットがあります。
・成功体験から達成感および自信を得ることができる
・成長を感じることができる
・お金のためだけでなく、自己実現などの高いレベルの欲求で働くようになる(=仕事観が高くなる)
経営計画を立案することで、経営の軸を手に入れることができ、その結果、ギャップが発生した要因は何かを考え、その要因を次に活かす手法を学ぶことができるようになります。
ギャップを埋め、目標にたどりつく行為が経営であり、目標や計画のない経営はありえません。
自分自身の仕事に誇りを持つことはよいことなのですが、こだわりが強すぎて小さいことにとらわれて、全体最適が難しくなることのないように取り組むようにしましょう。
(株)デンタル・マーケティング 代表取締役社長
寳谷 光教
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