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異業種に学ぶ自費率アップ6つのコツ【6】歯科医院の経営を改善するカギは、必ずあなたの中にある

2014年09月09日

(1) 院長の悩みは、ごく身近な問題を見直すことで解決!

本院で院長を務め、グループ全体の理事長でもあるS先生から経営コンサルティングのご依頼を受けしました。

S先生の歯科医院グループにおいては、ご長男とご次男がそれぞれ分院長をお勤めになられています。
ご相談の内容は「次男が急きょ退職するといってきている。最近はグループ全体の雰囲気も思わしくなく、業績も伸び悩んでいる」「子供たちと決定的に亀裂が生じている」というものでした。

私は、S先生に最初にお会いした際の「長男と次男にはグループ全体の経営のことを思って厳しくあたってきたが、認めたり、褒めたりといったことが不足していたと反省している」とのお言葉に、その当時の局面が、必ずやさらなる成長を遂げていくステップになると確信しました。

そこで、S先生と最初にお会いした際に「今あるもの」や「今できている」ことを数え上げてもらうことにしました。
そしてS先生に、その夜に最低1時間は時間をとって、以下の問いかけをゆっくりとご自分に投げかけていただけるようにお願いしました。

「どうして、自分は今こんなにも恵まれているんだろう?」

「どうして、自分は歯科医院の経営を30年以上もの続けてこれたのだろう?」

「どうして、自分は今たくさんのスタッフに囲まれてクリニックを経営することができているんだろう?」

「どうして、多くの患者さんが自分のクリニックに毎日訪れてくれているのだろう?」

「どうして、子どもたちはこのクリニックを支えてくれているんだろう?」

これらの問いかけをご自分自身にすることで、ご家族やスタッフの方々、そして患者さんへの感謝の気持ちを味わい尽くしてみるようにお願いしたのです。

S先生は、その夜に、実際には3時間以上かけて、涙を流しながら、ご家族やスタッフ、長年通院してこられている患者さんに対して、感謝の気持ちを味わい尽くし、ご自分がグループの成長を思うばかりに、「ないもの」ばかりに目を向けてしまい、「今あるもの」や「今できていること」を疎かにしていたことを痛感されたそうです。
そして、「今あるもの」や「今できている」ことに、心からありがたいと感謝できたそうです。

それからすぐに、S先生とご長男、ご次男の先生方3人には、私のすすめる「歯科医院経営改善プログラム」の中から「リーダーシップを学び、実行する」「ミッションを学び、実行する」「人生戦略を学び、実行する」の3つのポイントを抽出してワークショップをやっていただきました。

S先生はご長男とご次男との関係に「亀裂が生じていた」なかで、その関係が良好化したことから、年下の人たちとの人間関係が全般的に良好化しました。
スタッフや患者さんがS先生に親しみを感じるようになり、グループ全体の雰囲気が明るく元気になりました。

ご長男とご次男の先生方は、お父様であるS先生との関係が良好化したことから、年上や目上の人たちとの人間関係が全般的に良好化しました。
お2人ともに、学会や研究会へとお誘いを受ける機会も増え、著名な先生方からも可愛がられるようになりました。

そして何より、3つのポイントに対象を絞ったワークショップを、3人一緒に行ったことにより、歯科医院の経営に対する使命感や価値観を共有することができました。
そして、グループのトップ3人がリーダーとしての経営者へと生まれ変わったのです。

経営でも、人間関係でも、より身近にあるものが滞っていたりするものです。
だからこそ、より身近にあるものから見直してみることが、大きな成果をもたらすのです。

(2) 歯科医院経営改善プログラム:答えはあなたの中にある

私が歯科医院を含めてすべての業種における経営コンサルティングで最初に必ず行っていることがあります。
それは、上記事例でもお話したように、組織の経営者に「今あるもの」や「今できている」ことを数え上げてもらうことです。

これは、経営コンサルティングを受けようとする動機が「さらにクリニックをよくしていきたい」という場合においても、「現在、クリニックが大変な状況にあるのでとにかく何とかしてほしい」という場合においても、必ず行っていることです。

考えてみると、「さらにクリニックをよくしていきたい」という場合でも、「現在、クリニックが大変な状況にあるのでとにかく何とかしてほしい」という場合でも、現在の状況と目標や理想とする状況には必ずギャップが存在しています。

つまりは、現状と目標との間には、常にギャップが存在しているのです。
このギャップを、「ないもの」や「不足」ととらえると、ネガティブな気持ちになります。
仕事が楽しくなくなります。

このギャップを、「成長へのステップ」や「成長への伸びしろ」ととらえると、目標を目指していく中で、必ずやりがいや楽しさを見出すことができます。
「ないもの」に目を向けるのではなく、「今あるもの」や「今できていること」にありがたいと感謝しながら、「成長のステップ」として目標をとらえていくことが大事なのです。

一般に、経営コンサルティングや経営改善というのは、目標や理想の状況を目指して進んでいくことから、ときに「自己否定」のような展開になることもあるようです。
ですが、最初から「自己否定」をしてしまったら、「さらにクリニックをよくしていきたい」という場合でも、「現在、クリニックが大変な状況になるのでとにかく何とかしてほしい」という場合でも、経営改善は絶対にうまくいきません。

まずは「今あるもの」や「今できていること」に目を向けてみてください。
「今あるもの」や「今できていること」を数え上げてみてください。

そして、それらの1つひとつを祝福してあげてください。
「ないもの」に目を向けるのではなく、「今あるもの」にありがたいと感謝しながら、「成長のステップ」として目標をとらえてください。

「今あるもの」や「今できている」ことを数え上げてみる。
自分自身がすでにもっている強みやよいところを再発見し、自分自身のなかにある答えを見出していください。

歯科医院の経営を改善するカギは、必ずあなたの中にあるのです。

株式会社マージングポイント
代表取締役社長
経営コンサルタント
田中 道昭
⇒ http://www.dental-mp.com/

(注)クインテッセンス出版より、歯科医院経営選書として田中道昭先生の著書『歯科医院経営改善プログラム』が本年10月25日に出版されます。