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歯科医院の女性スタッフを活性化させるコツ【6】スタッフを活性化させるための“禁句”

2013年12月27日

女性スタッフを活性化させるためには、次の禁句はけっして使わないでください。

「医院のために、頑張って!」です。

「え~、いつもいってたよ」という先生も多くおられるかと思います。

「こっちが給料払ってるんだ!毎月、毎月、お金払ってるのに、医院のために頑張ってももらえないのか!」と、憤然とする先生もいることでしょう。

でも、人間のモチベーションを研究した本を多く読破し、世界的な心理学を学び、300人の女性スタッフを採用し、育成してきた私の話を、まずは聞いてください。

「人間は何のために働くのか?」

「人が仕事をする上で、一番のモチベーションの源になるのは何だろうか?」

私は、ずっとこのテーマについて考え、研究してきました。
もちろん、自社の女性スタッフたちのモチベーションをアップするためです。

現在は、企業研修をしている私ですが、ある時、面白い調査をしました。

研修で訪れる企業のほとんどが、日本を代表するような一流企業や急激に伸びているベンチャー企業で、研修で伺うからには、いつも企業の経営トップや幹部に直接お会いします。
その経営トップや幹部は、それぞれが会社にとってすごい功労者であり、人格的にも素晴らしい人ばかりでした。
そんな企業の経営トップに、私は会うたびに、次のような質問することにしたのです。

「○○さん、こちらの会社で素晴らしい業績を確立され、大きな貢献をしてこられましたね!△△社は○○さんにささえられて、ここまで伸びたとしか思えません! で、そんな○○さんが、日々仕事をする上でのモチベーションの源って何ですか?」

私の質問に対し、少し考えながら3秒ほど黙った後、彼らの口から出てきた言葉に、私は驚かされました。
それは、なんと「家族に対する責任感と・・・」「幸せな家庭を築き、子供をちゃんと育てることと・・・」「家のローンをちゃんと払い、家族みんなで安心して暮らせるようにと思って・・・」――このような言葉を口走り、その後は、これらに続く他の理由は見つからないといった感じで、口ごもってしまったのです。

私は約100人もの経営トップや幹部に「日々仕事をする上での、モチベーションの源って何ですか?」という質問をし続けたのですが、そこで、いったい何人の方が「会社のため!」という言葉を口にしたと思われますか?

実のところ、なんと1人もおられなかったのです。
繰り返しますが、日本トップの一流企業の経営幹部で、相当に勤勉でかつ知的な人たちです。

これらの方々の口から「会社のため!」という言葉が出てこなかったわけですから、その他の人びとの、働く理由やモチベーションの源は推してはかるべきです。

歯科医院で働く女性スタッフたちは、知的レベルがトップの人ばかりではありません。

いわゆる普通の幸せを夢見る女性たちです。

最高レベルの教育を受け、とても知的な経営幹部が、「会社のために」働いているわけではなく、自分と自分の家族の幸せのために働いていることがわかった今、「医院のために頑張れ!」という言葉が、いかに空回りし、無意味に思えませんか。

先生たちでも同じなのではないでしょうか?
勤務医としてどこかの組織の中で頑張っていた時のことを思い出してください。
何のために頑張りましたか。

医院のためですか?
「いや、自分がしっかり研鑽をつんで、歯科医師として上質な技術を磨き、自分が成功したいと思ったから」など、医院ではなく、自分の人生の成功のために頑張ったのではないでしょうか。

私も同様でした。
企業の中でトップセールスとして、休みは3週間に半日といったハードな生活を8年間続け、その後は、営業の管理職としてゼロから立ち上げた組織を年間20億円を稼ぎだすまでに成長させた私のモチベーションの源は「子供のために頑張る」で、これ以上でも、これ以下でもありませんでした。

「医院のために頑張れ!」――これは、きわめて自己中心的な言い方で、女性スタッフの心に響かず、活性化とはほど遠い言葉であることに気づかれましたでしょうか。

では、どうしたらいいのでしょうか?

「仕事の成功とプライベートの成功がリンクしたとき、人は頑張る!」と覚えておいてくださいね。

たとえば、こんな人がいました。
ある歯科医院スタッフKさんの話です。

お友達が証券会社に勤めていて、仕事はとてもハードだったのですが、日々笑顔で、窓口で顧客対応をしていたそうです。
窓口によくくるお婆さんが「あんたは、ほんといつも笑顔で良い子だね~!私の甥っ子が実は独身でね・・・」と、地元の地主という良家との縁談話が突然舞い込み、そこの息子さんと結婚したそうです。

そこで、Kさんは「笑顔で仕事をしていると、お客さんが良縁を運んできてくれるかもしれない!」と気づき、それからのKさんは、変わりました。

患者さんに笑顔で、最高に感じ良く、素敵に振る舞い、先生に対しても、尊敬した態度でていねいに接するようになったそうです。
そして、なんとお友達と同じく、患者さんからのご紹介で、素敵な方とお見合い話しが舞い込み、めでたく結婚に至ったのです。

Kさんは、まさに、仕事の成功とプライベートの成功をリンクさせることに気づいたからこそ、モチベーションアップし、上質な活動をしたわけなんですね。

女性スタッフを活性化させるには、何をすればよいのかおわかりいただけましたか?

「医院の中で仕事を頑張ることと、プライベートで成功することがリンクしているんですよ!」ということを、スタッフに教え、気づかせてあげることが必要なんです。
これは医院発展のために大変効果的な方法です。
ぜひ参考にしてください。

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 (社)国際医療経営学会 代表理事
 吉野真由美
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