2013年12月27日
【1】経営で「誰もが陥る罠」とは
「院長がいないと回らないクリニック」から、「院長不在でも成長し続けるクリニック」へと変革するにはどうしたらいいのでしょうか?
そのヒントは、マイケル・E・ガーバーの『The E-Myth』にあります。
前々回にご紹介しましたが、この本は、小さな会社や組織を成功に導くための世界的なバイブルといわれるものです。
その中で「起業家としての人格」「マネジャーとしての人格」「職人としての人格」の3つを兼ね備えることで、経営で「誰もが陥る罠」から逃れられるといっています。
この「誰もが陥る罠」とは、「職人」としてスタートした経営者が、その事業の中心となる「職人」としての専門的な能力が備わっていれば、その事業を経営する能力も十分に備わっていると勘違いしてしまうことを指しています。
事業を始めた時点においては、10%が「起業家」タイプ、20%が「マネジャー」タイプ、そして何と残りの70%までもが「職人」タイプが占めているといいます。
この事実が、多くの小さな会社や組織が失敗に終わる理由でもあります。
これを歯科医院に置き換えてみると、院長は「経営者としての仕事」「マネジャーとしての仕事」「歯科医としての仕事」の3つをバランスよくこなしていくことが必要なのです。
つまり、「職人としての人格」を中心に行っていたクリニックの経営に、「経営者としての人格」と「マネジャーとしての人格」を与えていこうということです。
【2】成長の壁にぶち当たる「職人型」クリニック
「リーダーシップを学び実行する」ことが経営の中心的課題となるのは、「起業家としての人格」とは「リーダーとしての人格」であり、「経営者としての仕事」とは「リーダーとしての仕事」であるからです。
それは、クリニックの持続的成長にとって不可欠となる明快で揺るぎないミッションやビジョンを掲げ、それらを実行していくこと、クリニックという組織に属するすべてのメンバーに希望を与え、彼らのやる気を鼓舞することこそが、経営者としての院長のリーダーシップだからです。
患者さんや周りの人たちを巻き込んで、社会に貢献していくような大きなミッションやビジョンは、自分のためだけにクリニックを運営するという「職人」ビジネスとしての活動実態では達成することが不可能です。
「職人」ビジネスでは、他の人から本当の協力や支援を得ることが難しくなるからです。
通常、人は、頑張っている人を応援しようと考えますが、その人だけが得をするような目標を掲げている場合は、自分の貴重な時間を使ってまで、手伝おうとする人は稀にしかいません。
ですから、院長が自分のためだけに医院経営をしている「擬似的なリーダー」の場合には、本音でついていこうと思うフォロワーはほとんどいません。
これが、何でも自分自身でやろうとしてしまう「職人型」クリニックが、成長の壁にぶち当たってしまう背景なのです。
【3】クリニックの持続的成長をもたらすリーダーシップ
1人でできることは限られています。
何でも自分自身でやろうとする考え方では、大きな成果は生まれません。
スタッフや患者さんを巻き込んでいくことこそリーダーシップです。
「後を振り向いたら、ついてくるフォロワー(部下)がいるか?」がリーダーシップの試金石です。
「スタッフにやる気がない」とスタッフのせいにばかりするのではなく、「自分がスタッフのやる気を引き出せていない」と考えるのがリーダーシップです。
スタッフの「いわれたからやる」を、スタッフが「自分からすすんでやる」にするのもリーダーシップです。
クリニックの持続的成長にとって不可欠となる明快で揺るぎないミッションやビジョンを掲げ、それらを実行していくこと、クリニックという組織に属するすべてのメンバーに希望を与え、彼らのやる気を鼓舞すること、それこそが経営者としての院長のリーダーシップなのです。
私どもが主宰するDental Business Schoolでも、田中道昭講師が講座の中で、歯科医院におけるリーダーシップのあり方について詳しく解説しています。
参考にしていただければ幸いです。↓
⇒ http://www.d-bs.org/products/detail.php?product_id=12
フォーユーメディカル株式会社代表取締役
Dental Business School 代表
廣田 祥司
⇒ http://www.d-bs.org/