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「経営スキル×人間力アップ」が歯科医院を伸ばす【5】ロジカルシンキングが院長の頭をクリアにする

2013年12月13日

【1】KKDで経営をしていたのでは落とし穴が待っている

かつて「KKD」という言葉が流行りました。
これは「勘」「経験」「度胸」の頭文字を並べたもので、この「KKD」で経営をしたり、問題処理をしたりしていると、根本的な解決にならず、同じ失敗を重ねてしまうなど、企業経営に大きなマイナスになってしまうのです。

「KKD」は、今日の歯科医院経営にも当てはまります。
院長の勘や思い込みや経験で経営していたのでは、舵取りを誤り、大きな落とし穴に陥ることになりかねません。
今回のテーマであるロジカルシンキングで、考え方を柔らかくし、筋の通った、目的意識を持った経営を実践していかなければならない時代になってきています。

ロジカルシンキングとは、論理的なコミュニケーションと論理的な問題解決の手段という2つの側面をもっています。

論理的なコミュニケーション・問題解決の手段としてのロジカルシンキングを身に付けると、相手が内容を理解しやすくなるのとともに、相手への説得力が増すという効果が得られます。
ですから、歯科医院の現場においては、最適な打つ手を見つけ、実施できるようになり、的確な問題の把握と解決によって、成功の精度を高め、失敗の確率を低めることができます。

ただし、このロジカルシンキングは、あくまでも論理的なコミュニケーションと論理的な問題解決の手段であり、それ自体が目的ではありません。
つまり「何のために使うか」という目的を明確にした上で活用していくと、本領を発揮するツールなのです。

【2】ロジカルシンキングでは3W1Hがシンプルで強力なツール

ロジカルシンキングにおいて、もっともシンプルで基礎的で強力なツールは、3W1Hというフレームワークです。

この3W1Hとは「What?(問題は何か?)」→「Where?(どこに問題があるのか?)」→「Why?(どうして問題が起きているのか?)」→「How?(どのように解決していくのか?)」というシンプルなものです。

どうしてこの3W1Hのフレームワークが、シンプルでありながらも歯科医院の現場でもっとも強力なツールとなるのでしょうか?

それは、歯科医院の経営の現場では、問題の特定や問題箇所の特定がきちんとなされないままで、「ホームページにもっとお金をかけよう」とか、「集患対策にもっとお金をかけよう」と打つ手ありきになってしまうことが多いからです。

歯科医療のプロセスとまったく同じで、経営改善のプロセスにおいても、まずもって重要となるのは、3W1Hの最初である「What?(問題は何か?)」という問題の特定なのです。
それは、「何の問題が起きているのか?」ということによって、打つ手は大きく異なるからこそ、最初の「問題の特定」が重要となるのです。

「What?(問題は何か?)」という問題の特定をしたら、次に「真の問題の所在はどこにあるのか?」ということを、きちんと分析・評価しておかないと、打つ手を間違えることが多いのです。

たとえば、クリニックの売上が低迷していると仮定します。

クリニックの売上が低迷しているという事実を指摘するだけでは、「問題の特定」を行ったことにはなりません。

「患者の減少」なのか、「スタッフのやる気の減退」なのか、「そもそもクリニックに売りがない」のかなど、きちんと「問題の特定」にこだわることが、プロセスの後半で最適な打つ手を立てるためには不可欠なのです。

さらには、「患者の減少」だけでも、まだ「問題の特定」にはなりません。
それは「初診患者の減少」なのか、「再診患者の減少」なのか、あるいは「再初診患者の減少」なのかによって、打つ手は大きく変わってくるからです。

「What?(問題は何か?)」という問題の特定において、たとえばただ単に「火事だ!火事だ!」と、すぐに打つ手として「消火活動」を始めるのではなく、「どこが火事になっているのか?」や「そもそも本当に火事なのか?」などをよく見極めることが必要となるのです。

ガスが漏れていたら、消火活動で水をかける前に、その処置をしてからでないと大惨事になってしまいます。
また、逃げ遅れている人がいたら、消火活動で水をかける前に、まずは救出を急がなければなりません。

この3W1Hのフレームワークは「歯科医院の現場で起きている真の問題は何なのか?」「その真の問題の本当の所在はどこにあるのか?」といったことを、きちんと見極めた上で、それにもっとも適した解決方法=打つ手を立てていくのに、不可欠なツールであり、このプロセスをきちんと踏んでいくことで、確実に失敗を防いでいくことができます。

もはや「KKD」で、歯科医院を経営していく時代ではありません。
ロジカルシンキングで、院長の頭をクリアにして、真の問題を見極めて、解決策・対応策を導き出してください。

 フォーユーメディカル株式会社代表取締役
 Dental Business School 代表
 廣田 祥司
 ⇒ http://www.d-bs.org/