2013年12月13日
今回は「スタッフを活性化させる褒め方」についてお話ししていくことにします。
褒めるというと、「自分が褒められないで育ったから、人を褒めるのは、好きじゃないなぁ」とか「褒めるとつけあがるからね!」という声が聞こえてきそうです。
しかし、女性というものは、褒め方ひとつで、良い方向にも悪い方向にも加速しやすいのです。
まずい褒め方をすれば、「この程度でいいんだぁ~、院長ちょろいな!」と、本人の成長をはばみ、増長させることにもなりかねません。
でも、褒め方によっては、組織全体をグングン伸ばし、またムードをとても良い方向に引っ張ることができるのです。
ひとつの例をあげましょう。
私の組織は9割が女性だったというのは、すでにお伝えしたとおりですが、ある朝、全体早朝ミーティングを予定していたときのことです。
普段は地味で目立たないスタッフSさんが、集合時間よりも20分早く現れて、ミーティングの準備を手伝い始めたのです。
それは、Sさんの自発的な行動で、みんなの分の机や椅子の配置をし、プリントアウトした印刷物を人数分の用意し、ミーティングがスムーズにスタートできるよう配慮した行動でした。
そこで、私はSさんのことをみんなの前で褒めたんです。
「ミーティングの前は、机、椅子の配置や印刷物やプロジェクターの手配など、結構忙しいものです。Sさんは、準備が大変だろうと気を利かせて、自発的に20分早くきて手伝ってくれました。とっても助かりましたよ、Sさん!ありがとうございます!自分のことで精一杯な人も多いと思いますが、できることであれば“自分に何かできることはないかな?”という目線で周りを見渡して、自分にできることがひとつでもあれば、どんな小さなことでもかまいません。いわれてから動くのではなく、自分から“手伝います!”と声をかけ、ちょっとでも動いてみましょう。みんなの小さな行動の積み重ねが、全体のムードや進行に大きな良い影響を与えますよ!」
最初は「ふ~ん、Sさん、おいしいところを持っていったな!」という目で見ていた他のスタッフも納得し、次第に8割の人が良い方向になびき、良い行動をするようになっていきました。
誰かが、何か良いことをしたときに、「エライ!」「素晴らしい!」といって、褒める人が多いですよね。
それも、良い褒め方だと思います。
しかし、本人だけではなく、全員を前にして、「何がどんなふうによかったのか?」「どういうところが素晴らしいのか?」「どう考え、何をすれば良いのか?」を、具体的に褒めることで、みんなの成長をうながすことができるのです。
もうひとつ例をあげてみましょう。
売上アップできた話しです。
ある時、1歳の子供をかかえた女性スタッフMさんが、カウンセリングでお客さんと心の通った良いコミュニケーションをし、高い成果金額で申込みをいただいたのです。
この時、私は具体的に、みんなの前でMさんを褒めたのです。
「Mさんは、お子さんを出産し、育児されるようになって、すごく成長されたと思います。とくに、人の心がわかるようになりました。自分の言葉が、相手にどんな印象を与えるのか?自分がどう行動したら、周りの人にどんなふうに喜んでもらえるのか?自分でしっかり考える力がつきましたね。そして、それを実践してみたところ、お客さんから高い成約金額でお申込みをいただくことができました。本当によかったです!私もうれしいです!みんなも高く評価していますよ!」
このように褒めたのは、Mさん1人だったのですが、この出来事は周りのみんなに大きな影響を与えたのです。
みんなは、私が褒めるのを見て、聞いて、「自分の言葉が、相手にどんな印象を与えるのか?自分がどう行動したら、周りの人にどんなふうに喜んでもらえるのか?自分でしっかり考えて行動すると認めてもらえるんだ!」という新しい価値観を得たのでした。
この後、Mさん以外のスタッフも、どんどん変わっていきました。
自分の言葉や行動が、人にもたらす影響を考え、より良い言動を自分から選択するようになったのです。
ここまで読まれて、どうお感じになりましたか?
褒めるというのは、とてもシンプルな行動なのですが、それを見ている女性スタッフにとっては「新たな大きな価値観を与えられた」という深い意味を持つものなのです。
女性スタッフは、とても敏感です。
「何をすれば褒められるのか?」「どうしたら自分の評価が上がるのか?」「どうしたら、ちょっとでもたくさんお金をもらえるのか?」と、普段、そんなことばかり考えています。
そこにもってきて、先生たちがやってほしい行動を誰かがとったときに、すかさず、それを認め、褒め、具体的に言葉にあらわして評価したらどうなるでしょう?
女性スタッフは「あ~、あのようにすれば褒めてもらえるのね!私も認められるし、評価されるのね!」と、自分の中の価値観を良い方向に塗り替えていきます。
つまり、良い褒め方をすると、女性スタッフたちの価値観をどんどん上質化していくのです。
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(社)国際医療経営学会 代表理事
吉野真由美
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