2013年11月13日
歯科医院において「人と組織をイキイキさせるマネジメント」とは、どのようなマネジメントなのでしょうか?
それはズバリ、歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じる仕組みとなっているマネジメントです。
歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じると、スタッフは「いわれたからやる」ではなく、スタッフが「自分からすすんでやる」ようになります。
その結果、「院長がいないと回らないクリニック」から、「院長不在でも成長し続けるクリニック」へと変革されていきます。
では、どのようにしたら歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じる仕組みができるのでしょうか?
それには、次の4つのポイントが不可欠です。
【1】ミッション経営を学び、実行していくこと
歯科医院で掲げられているミッションは、人にとっても組織にとっても使命・存在意義・目的となるものです。
つまり、歯科医院で仕事をしていること自体が、スタッフ自らの使命・存在意義・目的となっていれば、スタッフは成果を上げることに、よりやりがいを感じるのです。
ですから、歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じる仕組みづくりは、まずスタッフの自己実現上の目標にもなるようなミッションを、歯科医院が掲げて経営を実行していることが必要です。
【2】スタッフにキャリアパスが明確に提示されていること
歯科医院の1人ひとりのスタッフに対して、目指すべきゴールまでの道筋のモデル(キャリアパス)が提示されているとともに、そのキャリアパスを応援する仕組みがあることです。
人は、自分の将来やキャリアパスが見えてこない職場では、どんなに目先の待遇がよかったとしてもモチベーションが上がりません。
ミッションと並んで、キャリアパスが明確になっていることは、スタッフをイキイキとさせる源泉となります。
【3】キャリアパスがスタッフの人事評価システムに落とし込まれていること
小さな歯科医院では「人事不在」であることが多いもの。
「人事不在の歯科医院」では、明確な昇格や昇進のルールも存在しません。
スタッフのキャリアパスを踏まえた院内序列の仕組みも存在していません。
歯科医院の成果を上げることに、やりがいを感じて仕事をしているスタッフを、正当に評価する人事評価システムも存在していません。
このような歯科医院では、仮に歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じて仕事をし始めたとしても、そのモチベーションは長続きしないでしょう。
歯科医院のミッションを共有し、それに共感し、歯科医院の成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じて仕事をしていることを、正当に評価する仕組みが不可欠です。
【4】成果と計画を明らかにすること
成果と計画を明らかにしたマネジメントを実行することが、これからの歯科医院にとってきわめて重要になります。
具体的には――
・目標を明確にして、目標管理制度を構築して実行すること
・PDCA(プラン→ドゥ→チェック→アクション)サイクルを構築して実行すること
・そのためにも、業務をマニュアル化すること
・クリニカルパス(時間順にまとめた診療計画表)を導入すること
もっとも重要なことは、これらは手段であって目的ではないということです。
マネジメントシステムやマネジメントサイクルを導入する目的は、「院長がいないと回らないクリニック」から「院長不在でも成長し続けるクリニック」へと変革するためなのです。
・患者さんに対して常に一定水準以上の満足される医療サービスが提供されていること
・マニュアル化された秩序ある仕組みによって歯科医院が運営されていること
・院長が時に現場にいなくても、スタッフが働く仕組みができていること
・歯科医療のみならず歯科医院全体が1つの仕組みとなって機能していること
・院長が経営者としてやるべき仕事をきちんとこなし、歯科医院が事業として回っていること
・院長が歯科医院の事業に「お仕え」しているのではなく、歯科医院の事業が院長にお仕えしている状態になっていること
ここでお話した4つのポイントを、歯科医院に導入していくことが、「人と組織をイキイキさせるマネジメント」――つまり、クリニックの成果を上げることに、スタッフがやりがいを感じる仕組みとなるのです。
フォーユーメディカル株式会社代表取締役
Dental Business School 代表
廣田 祥司
⇒ http://www.d-bs.org/