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「経営スキル×人間力アップ」が歯科医院を伸ばす【2】“ミッション経営”が優秀なスタッフや患者さんを引き寄せる

2013年10月31日

【1】集患・自費率アップ・増収のカギとなるもの“ミッション経営”

歯科の先生とお会いしていると、経営面での最大の関心事として「集患」「自費率アップ」「増収」をあげる方が多いことに気がつきます。

「集患と自費率をアップして増収を実現しているクリニック」では、どのような経営を行うことで「集患」「自費率アップ」「増収」を実現しているのでしょうか。

これらのクリニックの共通点は、自由診療への本格的な取り組みを「業態変革」ととらえて、マーケティング戦略を強化していること、コンサルテーション体制の整備を行っていることなどにあります。そして、これらのクリニックにおけるもっとも重要な共通点こそが、実は「ミッション経営」なのです。

ミッション経営とは、クリニックの経営理念や存在意義であるミッションを掲げて、それを普段の診療の中にも実現させている経営のことをいいます。

きちんとしたミッションを掲げ、「集患と自費率をアップして増収を実現しているクリニック」では、そのミッション自体が「灯台の灯り」となって、優秀なスタッフや患者を引き寄せています。

【2】「良いミッション」と「悪いミッション」

といって、どんなミッションでも掲げさえすれば、ミッション経営が成功する、ミッションさえ掲げていれば「集患と自費率をアップして増収を実現しているクリニック」になれるわけでもありません。

多くの歯科医院を見てみると、そこには、「良いミッション」と「悪いミッション」のようなものが存在することに気がつきます。

「悪いミッション」の典型例は、院長自身の想いだけが強すぎて、掲げているミッションが「独りよがり」になっているケースです。
たとえば、「常に最先端の歯科医療を提供する」というミッションを掲げ、院長自らは自己研鑽に励んでいるのですが、スタッフの教育指導にはまったく関心がなく、スタッフがミッションに対して白けています。

「常に最先端の歯科医療を提供する」というミッションが、スタッフ自らの目標になっていないため、院長の「独りよがり」の個人目標にとどまっているのです。

反対に、「良いミッション」は、それが院長自身の目標であるだけでなく、スタッフ1人ひとりの個人としての目標にもなっていて、「院長の目標」=「スタッフの個人としての目標」=「医院全体の目標」の3つが一致しています。個人の目標となり得ないミッションは、いくら院長がスタッフに定着させようと努力しても空振りに終わりがちです。

私たちが主宰する歯科医療従事者のためのビジネススクールDBS(Dental Business School)のDVD教材の中では、実際に存在する歯科医院をモデルに、仮名“スマイルプラス・デンタルクリニック”として、ミッション経営の事例解説が行っています。

このクリニックのミッションは「歯科医療を通じて人と社会の生活向上に貢献すること-あなたの笑顔にスマイルプラス・デンタルクリニック-」です。

そして、このクリニックでは、ミッションやクリニック名に織り込まれている「笑顔」という言葉の中に、スタッフ1人ひとりが自分自身をリードする「セルフリーダーシップ」としての目標や指針を凝縮させているのです。

【3】「ミッション×セルフリーダーシップ」がミッション経営実現のカギ

『ミッションの経営学』の著者でもあるDBSの田中道昭講師によると、このクリニックのモデルとなった歯科医院では、本当のミッション経営が実現できるまでには紆余曲折があったといいます。
そして、このクリニックでみられた紆余曲折のパターンは2つあり、ミッション経営を実現しようとしているクリニックに数多く見られるものだそうです。

1つめは、どこかの段階で、院長自らが「笑顔を忘れていたこと」に気がつき、院長自らが笑顔を取り戻すというパターンです。
「あなたの笑顔にスマイルプラス」というミッションを掲げ、スタッフに笑顔でいることを求めておきながら、院長自らが笑顔でいないクリニックにそのようなミッションが定着するはずはありません。

どのようなミッションを掲げていたとしても、経営のトップである院長自らが、セルフリーダーシップを発揮して、自らミッションを実践しているのかがまずは問われるのです。

2つめは、どこかの段階で、院長自らがスタッフを真に大切にしていなかったことに気がつき、ミッション経営の実現には、実はスタッフの価値を大切にしてあげることが不可欠であると腑に落ちるパターンです。

このクリニックでは歯科衛生士と歯科助手との間に資格の有無で差別する雰囲気が残っていました。
その最大の原因を探ると、院長自らがドクターとドクター以外とで差別するような意識をもっていたことにありました。
その後、院長が真剣にスタッフ1人ひとりの歯科医院におけるキャリアパスを考え、その延長線上にミッションを位置づけたことからようやくミッション経営が実現したのです。

ミッション経営を実現させるカギも「集患と自費率をアップして増収を実現しているクリニック」となるカギも、「ミッション×セルフリーダーシップ」にあるのです。

優秀なスタッフが引き寄せられるようなミッションを掲げ、実際にスタッフの価値を真剣に考え、掲げられたミッションの下でスタッフは真剣に患者価値の向上に取り組んでいる――そんなクリニックに患者さんは引き寄せられるのです。

 フォーユーメディカル株式会社代表取締役
 Dental Business School 代表
 廣田 祥司
 ⇒ http://www.d-bs.org/