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患者さんの信頼を得る説明の仕方【6】非言語表現に注意する

2012年07月01日

「信頼を得る説明の仕方」の最終回は、発音や雰囲気などの非言語表現についてお伝えしていきます。

<<1:最初の単語をはっきり発音>>

説明の際の行き違いは、大きなトラブルの元となります。
説明をしっかり届けるためには、発音にも気を配る必要があります。

歯科医院で働いている女性スタッフの体験談を紹介しましょう。

「患者さんに聞き返されたので、大きな声でいい直しました。すると患者さんは“耳は遠くない。はっきり発音してくれ”と、怒ったようにいわれてしまいました」

このスタッフは、聞き返されたので、声が小さかったのかと思い、大きな声でいい直したのです。
しかし、患者さんが求めていたのは、大きな声ではなく、はっきりした発音だったのです。
スタッフの発音が悪いのに、患者さんは自分の耳が悪いことにされ、その上、いきなり大きな声を出され不愉快になったわけです。

音としては聞こえているけれど、言葉として聞き取れないことがあります。
そのような場合、第一音が聞こえていないことが多いのです。
聞き返されたら、第一音をはっきり発音してみましょう。

たとえば「パソコン」といったときに聞き返されたら、相手には「p」が聞こえず、「アソコン」と聞こえているおそれがあります。
この場合、パピプペポの「p」の音に勢いをつけて発音すると、はっきりと相手に届きます。

聞き返されることの多い人は、息を吐き、たっぷり吸い、子音に勢いをつけて発音をしてみましょう。
聞き返される回数が減ることを実感されるでしょう。

<<2:SOLERを意識する>>

説明の際は、言語表現だけではなく、自他の非言語の表現にも注意を払いましょう。

まず、SOLERを意識して説明をしてみましょう。
SOLERとは、頭文字を取った略語です。

 ・S~(squarely) ・・・相手とまっすぐ向き合う。
 ・O~(Open ) ・・・・開いた姿勢(腕や足を組まない)。
 ・L~(Lean) ・・・・・相手に体を傾ける。
 ・E~(Eye-contact)・・視線を適度に合わせる。
 ・R~(Relaxed)・・・・リラックスをする。

自分もリラックスし、患者さんもリラックスできるように、おだやかな雰囲気を保ちながら説明します。

そして、患者さんの反応をよく観察することも大切です。

患者さんが理解していないのに、ハイペースで説明をすすめてしまうと、 「いった」
「いや聞いていない」 というトラブルの元にもなります。
患者さんに、うなずきの減少、アイコンタクトの減少、表情がこわばるなどの反応があったら、すぐに説明をいったん止めるべきです。

その上で、 「説明が早すぎますか?」
「もう一度説明したほうがよいところがありましたら、教えていただけますか?」 などと尋ねてみましょう。

以上、「説明力向上」のポイントをお届けしました。
「説明力向上」で、患者さんからの信頼度も上がり、自信もつき、好循環が生まれます。
歯科医院全体の雰囲気が変わっていくことを実感されることでしょう。

本連載が貴歯科医院の発展のために役立つことを、心より願っております。

 NHK学園専任講師
 山岸 弘子