2012年05月24日
今回の連載では、今後歯科医院が伸びていくために欠かせない「説明力向上」についてお伝えしております。
第3回目、第4回目は、実践的で、上手な説明のコツをご紹介していくことにします。
書き言葉と違い、話し言葉は瞬間、瞬間に消えていきます。
そのため、書き言葉とは違う配慮が必要になります。
その配慮のひとつが“ワンセンテンスに1情報”です。
ワンセンテンスとは、句点、つまり「。」で区切ることができるひとかたまりの文のことです。
このワンセンテンスに1情報だけ入れるようにすると、聞き手は理解しやすくなります。
最近の傾向として、「が」「て」「ので」などの助詞を何回も使って話をつなぎ、ワンセンテンスに複数の情報を入れる人が増えています。
たとえば
「あの、Aさんのお口の状態ですが、この絵を見てもらうとわかるんですが、歯と歯茎の境目の溝のことを歯周ポケットというんですが・・・」
というような説明の仕方です。
助詞を多用した、ワンセンテンスが長い説明は聞き手にストレスを与えます。
助詞でつなぐのではなく、
「Aさんのお口の状態について説明します。まず、こちらの絵をご覧ください。・・・」
とワンセンテンスを短くし、1情報だけ入れてみましょう。
主語(だれが)と述語(どうする)を近づけて説明すると、わかりやすくなり、聞き手の負担になりません。
逆に、主語(だれが)と述語(どうする)が離れすぎると、聞き手を混乱させてしまいます。
たとえば、次の文を口に出して読んでみてください。
「私は、海とバイクが好きで、活動的で、面倒見がよく、だれにでもやさしい先生の経営する歯科医院で働いています」
おそらくほとんどの人が、途中まで、「私」という人物が「海とバイクが好きで、活動的で、面倒見がよく、だれにでもやさしい」と、勘違いして聞くはずです。
それは、主語(私)と述語(働いています)が離れすぎていることが原因です。
主語と述語を近づけると、「私は歯科医院で働いています」という短いセンテンスが出来上がります。
続いて、
「勤務している歯科医院の先生を紹介します」「先生は海とバイクが好きで・・・です」
とつなげていけば、聞き手も理解しやすくなります。
前回は「タイトル」→「結論」→「詳細」という説明の順番をお伝えしましたが、それに加え、今回お伝えした説明のコツ、“ワンセンテンスに1情報”と“主語と述語を近づける”を実践すると、さらにわかりやすい説明に近づいていきます。
NHK学園専任講師
山岸 弘子