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異業種に学ぶ自費率アップ6つのコツ【4】自費率アップのための診療戦略を立てる

2014年08月08日

(1) 診療戦略とはプロダクトミックス戦略

歯科医院における「診療戦略」とは、一般の経営戦略における「プロダクトミックス戦略」のことを指します。
歯科医院における「プロダクトミックス戦略」とは、最適な診療科目を標榜し、保険診療と自由診療のベストミックスを構築し、自分自身のクリニックの特性にもっとも合致した診療ミックスを提供していくことです。

そして、プロダクトミックスとは、経営戦略においては利益や利益率の問題です。
どのような業種で、どのような商品・サービスを扱っていたとしても、その商品・サービスの構成であるプロダクトミックスの違いにより、組織全体の利益や利益率が左右されてきます。
つまりは、組織全体の成長性や顧客の満足度とのバランスも考慮した上で、より高い利益率の商品・サービスに重点をおいていく施策がプロダクトミックスなのです。

このプロダクトミックスを考える上での視点は、利益や利益率にとどまりません。

その商品・サービスを巡るマーケットの状況や今後の成長性なども考慮して決定していくのが、プロダクトミックス戦略、つまりはクリニックにおける診療戦略です。

では、歯科医院における診療戦略を考える上で重要なポイントには、どのようなものがあるでしょうか?

ここでは、次の3点のみ指摘しておくことにします。

・(経営学としては「非消費」分野である)「予防歯科にどう取り組むのか?」
・(経営学としては「シナジー」分野である)「訪問歯科にどう取り組むのか?」
・(経営学としては「成長」分野である)「美と健康にどう取り組むのか?」

 
(2)  予防歯科にどう取り組むのか?

歯科医院の経営において、予防歯科がどれだけ重要であるのかは、歯科業界自体が縮小を続けているなかで、オーラルケア商品が年間で4.5%の成長を続けている成長市場であるというデータからも明らかです。

予防歯科を伸ばしていくためには、通常の院内診療と比較して、患者さんが来院する動機が大きく異なること、その点を理解して院内の仕組みを構築していくことです。

狭義の予防歯科は、治療が完了した患者さんを対象とすることから、特別に来院をうながす動機づけや通いたくなるクリニックづくりが不可欠です。

そのためには「もう絶対にむし歯になりたくない」とか「見た目にもいつまでも若くいたい」といった患者さんのニーズを掘り起こすことが重要となります。
より具体的には「褒める」「快適さや心地よさを提供する」といった施策から、患者さんのデンタルIQを強化する仕組みづくりが、普段のクリニックの診療のなかで重要となります。

(3) 訪問歯科にどう取り組むのか?

訪問歯科診療については、目先の診療点数の増減に目を奪われていたならば、数十年単位での歯科医院経営の生き残りにも、大きな影響を与えかねないくらい重要な分野であると認識することが必要です。

厚生労働省が今後2025年に向けて、病院完結型から地域・在宅完結型への医療・介護政策をさらに推しすすめているなかで、訪問歯科診療はその中核を担うものとなることは確実です。
それは「医療・介護の連携」が一向にすすまない最大の理由が「医療=医療機関vs.介護=民間企業」という出身母体の違いによる構図にあり、そのコミュニケーションギャップを埋めるのは歯科医療しかないからです。

医療の分野において、本当に患者さんのニーズを傾聴し、多くは民間企業が提供する介護分野と緊密な連携をとっていけるのは歯科医療なのです。

訪問診療では、院内の診療と比較して、患者側が治療を受ける動機が大きく異なります。

訪問診療において、患者側が治療を受ける最大の動機は、摂食・嚥下障害の改善であり、「顧客」の定義も、直接の患者さんだけではなく、その家族やケアマネジャーなどまで含めてマーケティングをとらえ直すことが必要です。

さらには、訪問診療は、院内診療と比較すると、その使命感や価値観が大きく異なります。院内診療の延長線上で取り組みが可能な分野では断じてありません。
だからこそ、訪問歯科の現場で、摂食・嚥下障害を改善する口腔リハビリに使命感をもつスタッフを育成すること、そして経営者自らがそのような使命感をもつことが重要となるのです。

(4)  美と健康にどう取り組むのか?

まず、歯科医療マーケット自体がすでに飽和状態にあるなかで、そのマーケットに近接・隣接している美と健康マーケットが40兆円を超える勢いで伸び続けている巨大な成長市場である、ということを見逃してはなりません。

あくまで比喩として申し上げると、同じ「ヘッドスパ」という施術が、一流ホテル、エステサロン、美容院、理髪店でやるのとでは、それぞれまったく価格が違うように、近接・隣接している成長マーケットとして歯科医療マーケットをとらえ直し、クリニックを成長市場のなかで競争させていくことが必要なのです。

美と健康については、美容と健康やアンチエイジングに高い関心をもつ来院者を、いかに自分自身のクリニック独自のポジショニングとメニューづくりで呼び込むことができるかが実務的にはもっとも重要です。

「口腔内外マッサージの提供」という面での訪問診療とのシナジーや、「快適さや心地よさの提供」という面での予防歯科とのシナジーがあるのも、美と健康の特徴です。

「疾病のために仕方なく来院する」から、「自らすすんで来院する」患者さんを増やしていくためにも、美と健康は、その切り札となるのです。

40兆円を超える勢いで伸び続けている「昇りのエスカレーター」は歯科医院のなかにも通っていて、これにいかに乗り換えるのかが、歯科医院の重要な成長戦略となります。

株式会社マージングポイント
代表取締役社長
経営コンサルタント
田中 道昭
⇒ http://www.dental-mp.com/