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【6】患者さんの心を満たす言葉や対応が大切!

2016年12月19日

今回でいよいよ最終回です。

前回までに集患方法、サービス・環境の重要性についてお伝えしてきました。

今回は、ドクター対応についてお話します。

ドクター対応とは、治療の内容ではありません。

もちろん、治療の内容がしっかりしているのは、歯科医師として当然のことです。

そのために、つねに治療の知識や技術を学ぶことも大切です。

そして、よりよい治療を提供するのは、医療人としてもっとも重要なことだと思います。

でも、じつは1つ問題があります。

たとえば、あなたが他の先生よりも勉強をして、知識も技術もあるとします。

実際には、ランキングをつけることはできませんが、100人中5番以内の実力があるとします。

でも、それを患者さんは知ることができるでしょうか?

あなたが治療の上手な先生だと、患者さんは認識できるのでしょうか?

たぶん不可能だと思います。

 「先生、形成がすごく上手ですね!」
 「先生、根充がうまいんですね!」

なんて言われたことありますか?

たぶん、そのような具体的なことで褒められることはないでしょう。

もし、褒められることがあったとしても、

 「先生、上手ですね」

と、漠然とした内容で言われます。

では、この患者さんの評価は、どこをジャッジしているかというと、先生の対応です。

もう少し具体的にいうと、

 ●話を聞いてくれる。
 ●器具の扱いがていねい
 ●口腔内の扱いがていねい
 ●麻酔が痛くない。
 ●優しく対応してくれる。
 ●気遣いをしてくれる。
 ●わかりやすく説明してくれる。
 ●私のことを理解してくれる。
 ●私のことを覚えていてくれる。

などです。

形成が上手か、根充が上手かは、自分で患者さんにアピールしない限り、わかりません。

ですので、多くの患者さんは上記の項目を基準に評価をしています。

「話を聞いてくれる」や、「優しい対応」などは、
実際の治療の質とは関係がないかもしれません。

しかしながら、人間は感情の動物なので、そういった部分も融合して無意識で評価を下します。

精神的に満たされているかどうかも、とても重要になってきます。

感じの悪い先生が治療をして、治療後に歯がしみる感じがあったりすると、

 「あの先生、治療を失敗したのでは? なんか治療中も雑だったからな。ホント最悪」

と思ったりします。

逆に、すごく感じが良い先生が治療して、治療後に歯がしみる感じがあったとしても、

 「ちょっと、しみるけど、治療したばかりだから、しょうがないのかな?たいして痛くないから、次回の時にでも先生に聞いてみようかな?」

と思います。

もちろん、治療後の注意事項として、しっかりしみる可能性を伝えればよいという話ではありますが、
人間は、同じ状況や同じ結果でも、相手によって湧き上がる感情が違ってくることを理解することが大切です。

たとえば、尊敬する人や好きな人に、通りすがりにちょっと肩がぶつかられたとしても、
申し訳なさそうな笑顔で「すみません」と、自分から言ってしまったりすると思います。

でも、世界一嫌いな人がいたとして、通りすがりにちょっと肩がぶつかって、同じ対応をとるでしょうか?

もちろん大人なので、露骨な対応する人はいないと思いますが、感情はどうでしょうか?

聖人でもない限り、まったく感情が同じと言うことはないと思います。

要は、治療も重要ですが、ドクターの対応も非常に重要になるということです。

対応とは、「患者さんに好かれる対応」「患者さんに信頼される対応」です。

歯科医師の数はドンドン増えています。

歯科医院の数もまだまだ増えています。

それに反して、人口は減ってきています。

結果、患者さんが歯科医院や歯科医師を選ぶ時代になっています。

前回のメルマガでもお伝えしていますが、歯科医院にも、心の豊かさを求める人が増えています。

心にアプローチするには、治療だけをしていては難しいのです。

では、先ほど書いた内容を1つずつ解説していきます。

 ●話を聞いてくれる

 →人は誰でも自分が考えていることや、思っていることがあります。
  それを話せないでいると、どうしてもモヤモヤが溜まります。
  ですので、しっかり話を聞くことが大切です。

 ●器具の扱いがていねい

 →ガチャガチャ音をたてて治療していると、
  それだけで患者さんは「治療が雑だな」と感じます。
  1つひとつの器具をていねいに取り扱ってみましょう。

 ●口腔内の扱いがていねい

 →ミラーがカツカツ歯に当たったり、強く頬を引っ張ったりすると、
  それだけで治療が下手と評価されやすいです。

 ●麻酔が痛くない

 →麻酔が嫌いな患者さんは、とても多いです。
  そのため、できる限り痛くない麻酔をすると信頼性が上がります。
  表面麻酔や、麻酔の針を刺す角度、流入スピードなどに気を付けて麻酔してみてください。

 ●優しく対応してくれる

 →歯科は関係ありませんが、女性が男性に求める要望で多いのが「優しい人」です。
  逆に自己中心的な人、横柄な人、清潔感がない人は嫌われます。
  一般的にそうであれば、歯科医師にも同じこと当てはまります。
  医療だから横柄な先生も許せるということは、あまりないでしょう。
  優しい対応を心掛けてみてください。

 ●気遣いをしてくれる

 →人は細かい気遣いがある人に好意を抱きやすいものです。
  日常生活でも、こちらから言わなくても、さりげなく箸を取ってくれる人。
  セルフの店でお水を持ってきてくれる人など、気遣いがある人は、人に好かれやすいです。

  たとえば治療の際でも、

  「顎は疲れていないですか? 1回ゆすいで休めましょうか?」
  「久しぶりの治療なので、ちょっと緊張しますよね。途中で何かあればいつでも止められますから、何かあれば遠慮なく左手を挙げてくださいね」

  などと言ってみてください。
  別に、「ゆすいでください」「何かあったら左手を挙げてください」でも行動指示としては十分です。
  ただ、それだけだと気持ちは伝わりません。
  要は、心は何も満たされないってことです。

 ●わかりやすく説明してくれる

 →説明がわかりづらいと、患者さんが理解するのが難しくなります。
  理解できないことは、説明されていないことと一緒ですから患者さんが理解できるようにわかりやすい説明が必要です。
  できるだけ、中学生でもわかるような言葉だけを使ってください。

 ●私のことを理解してくれる

 →患者さんの話を聞いても、患者さんが
  「先生が私のことを理解してくれていない」
  と思うとガッカリしてしまいます。
  そのためには、患者さんの話にしっかり頷いたりするなどのリアクションをしたり、共感のフレーズを入れることが必要です。

 ●私のことを覚えていてくれる

 →あなたが近くの個人経営の小さいレストランに10回くらい夫婦で通っているのに、毎回初めてのような対応されたらどうですか? 
  なんだか、大切にされていない感じがしませんか?
  過剰に対応してほしいわけではないですが、「あなたのことを覚えてますよ」という感じはほしいはずです。
  要は、覚えてくれていないということは、私をそれほど大切にしてくれていないと思う心理があるということです。

こういったことを1つずつ高めることが、患者さんの心を満たすことになります。

正直、慣れないうちは大変かもしれません。

そんなことをしなくても、治療はできます。

たしかに治療の質が高いことは歯科医師として大切なスキルです。

ただ、患者さんへの対応の質が高いことも、時代が求める大切なスキルです。

スタッフが院長に、

「先生の対応あまり良くないですよ。そんなぶっきら棒な表情じゃなく、もっと笑顔のほうが良いと思います」

なんて言うことはまずありません。

心の中では思っていても、絶対に口に出しません。

別にスタッフじゃなくても、友だちさえも言いません。

そんな微妙なことを話して、友達として雰囲気を壊す可能性を秘めているのに、わざわざ言うメリットがないからです。

夫婦や親子間だって、わかっていても言わないケースもあります。

もちろん、患者さんへの対応がしっかりできている先生も、たくさんいらっしゃると思います。

ただせっかくなので、いま一度自分自身を見つめ直して、本当にできているかどうかを考えてみてはどうでしょうか。

全6回でクリニックが繁栄する秘訣をお伝えしました。

細かいことをお伝えできていない部分も多々ありますが、ぜひご自身でピンとくることが1つでもあればトライしてみてください。

また歯科業界はこれからさらに厳しくなってきます。

今は大丈夫でも、5年後は医院経営が厳しくなる可能性もあります。

ですので、今のうちから医院経営の勉強も治療と併行して学んでみてはいかがでしょうか。

では、いつの日かセミナーや勉強会でお会いできる時があれば、ぜひ声を掛けてください。

一般社団法人 歯の寿命をのばす会/歯科医「開業成功バイブル」主催
伊勢海 信宏
http://haisyakaigyo.com/