2016年10月17日
前回、アポイントが埋まるために必要なこととして、以下の3つが大切であるとお伝えしました。
[1]集患方法
[2]サービスと環境
[3]ドクターの対応
そのなかでも、[1]の集患方法はとても重要です。
なぜなら、集患が安定している歯科医院は、経営的にも安定しやすいからです。
もちろん、口コミや評判だけで集患ができるのが理想ではあります。
ただ、それは歯科医師の才能による部分も大きく、誰でもできるわけではありません。
ですので、集患方法をいろいろトライして、患者さんが来てくれる歯科医院を作ることが重要です。
実際に、駅ビルなどで開業しているケースは集患に困らない場合が多いので、治療や院内環境に注力できたりします。
では、具体的な方法としてアナログ的な集患法をお伝えしていきたいと思います。
1)医院前の看板
ここについては前回のメルマガで詳しくお伝えしました。
2)ブラックボード
ブラックボードって知っていますか?
ときどき、美容室などで入口前に置いてある小さい黒板です。
ここに歯の情報を書くことによって、まだ来院してない方にも、歯のことや医院のことをアピールすることができます。
ブラックボード良いところは、定期的に内容を書き換えられるので、医院前を通っている人に刺激を与えられる点です。
通常の看板は、いったん作ったらずっと同じなので、毎日通っていると風景と同化してしまいますが、
ブラックボードは書き換えたり、インパクトのあるイラストを描くことで、「なんだろう?」と通行者の意識を向けることができます。
もちろん、歯科医院はパン屋や美容院などと違って、見たからすぐに来院することにはつながらないですが、
認知を増やすことは非常に重要です。
また、手書きなので雰囲気を伝えることができ、なんとなく親近感をもってもらえたりします。
ぜひ、歯の情報を書いてみてください。
意外と1人くらい絵心のあるスタッフがいるものです。
3)名刺
どんな仕事でも、自己紹介されて相手の名前をすぐに覚えられる人はあまりいません。
ほとんどが、半日ぐらい経つとすっかり忘れてしまいます。
ただ私たち歯科医療従事者にとって、患者さんに名前を覚えてもらうことはとても重要です。
「○○駅前クリニックの先生」と言われるよりも
「○○駅前クリニックの□□先生」と言われているほうが、より患者さんとの距離が近いはずです。
そのためにも必ず名刺を作ってください。
その際に、注意点があります。
それは「名前」「クリニック名」「住所」だけの名刺は作らないことです。
みなさんも名刺をもらったことがあると思いますが、
名前や会社名だけだと、パッと見てそのまま机の引き出しに入れてしまいます。
相手に覚えてもらう大切なポイントは、医院の特長を名刺の裏面に書くことです。
院長の名前を覚えるために名刺は必要ですが、せっかくならどんな歯科医院なのかを患者さんに知ってもらうチャンスとしたいものです。
たとえば、歯周病治療にあなたがこだわっているなら、歯周病に関してアカデミックな治療をしていることをアピールするとよいでしょう。
そうすることで、地域の集まりなどで名刺を渡した際に、歯周病で困っている患者さんの心に響くようになります。
また、院長だけでなく、歯科衛生士の名刺を作ることもおすすめします。
患者さんからすると、治療してくれている歯科衛生士にも、「先生」という立ち位置で接してくれます。
自分の口腔内環境を整えてくれる「先生」(歯科衛生士)として、名前を憶えてもらうことも重要です。
とくに患者さんと歯科衛生士は、メインテナンスなどで長い付き合いになることが多いわけですから。
4)医院パンフレット
みなさんの医院では、医院のパンフレットを作っていますか?
先ほど、名刺の裏に医院の強みを書くとお伝えしました。
ただ名刺の裏はどうしても情報量が限られてきます。
書けたとしても、100文字程度が限界です。
もっと医院のことを知ってもらうほうが、あなたの歯科医院に興味をもってくれる可能性が高くなります。
そのためには、医院パンフレットが必須となります。
医院のパンフレットは三つ折りのサイズがおすすめです。
そこに載せる内容は、医院の強みがしっかり伝わるように書いてください。
よくある、一般歯科、小児歯科、口腔外科、矯正歯科、入れ歯、インプラント、訪問歯科など診療科目をすべてアピールしても、
患者さんからすると何の魅力も感じない歯科になってしまいます。
それでは、なんでも売っているコンビニのようなイメージをもたれてしまいます。
すべてを取り扱っているけど、これといって特別光る魅力がない感じです。
それよりも、自分が一番大切としていること、一番重要視していることを2つだけピックアップして、
その2つについて掘り下げて書くことがポイントです。
もちろん、実際の治療として、入れ歯、インプラント、歯周外科、矯正、小児をしているのは構いません。
ただ、パンフレットなどでアピールする際は、特長やポイントを絞るのが大切です。
どんなに多くても、せいぜい3つがよいでしょう。
正確な表現は忘れましたが、アメリカのある大統領が、
「多くのことを伝えるのは、話していないのと同じ。最大でも3つまでにすること」
と言っています。
まさにそれです。
5)小冊子
小冊子と聞くと、医院のパンフレットの情報を増やしたものと思っている人がいますが、じつは違います。
あくまで医院のパンフレットは、あなたのクリニックのメリットを伝える情報ツールですが、小冊子は別の意味合いがあります。
小冊子は、患者さんにためになる「歯の情報」を伝えるツールです。
小冊子を読んで、歯に対する意識が変わったり、メインテナンスの重要度を知ったり、
子どもの歯のケアの方法を理解してもらうことを目的としています。
歯に対する情報を伝えることで、患者さんのデンタルIQを高めることが重要です。
また、そういった情報をしっかり伝えているクリニックに、地域の患者さんは好印象をもちます。
歯科医師は、歯のトラブルを治療して解決することも重要ですが、歯が悪くならないようにするために啓発していくことも大切な仕事だと思います。
地味かもしれませんが、トライしてみてはいかがでしょうか。
6)地域での歯についての勉強会
歯についての勉強会とは、自院の待合室や、場合によっては地域の公民館の一室などを借りて、歯の情報を地域の人に伝えるイベントです。
内容はなんでもいいのです。
「どうしてむし歯になるのか?」
「90%の人が知らない歯周病の怖さ」
「妊娠中から始める子どものむし歯予防」
など、地域の患者さんの年齢層を考慮して内容を決めれば良いと思います。
ちなみに、あくまで情報発信です。
ただ定期的にコツコツ行うことで、地域における医院のブランディングになります。
7)駅やバスでの看板・野立て看板
これは、昔ながらの広告の王道です。駅看板や電柱看板などがあると思います。
しかし、昔よりもかなり広告規制が厳しいので、他のクリニックと差別化できる内容は書けないかと思います。
都心では看板掲載費用が高騰していますから、費用対効果を考えると厳しいと思います。
実際に駅ごとに等級が決まっており、乗降人数の多い駅は当然値段が高くなっています。
もし、あなたの最寄り駅の看板が金額的に安ければ検討してみてみるのもよいと思います。
8)バスのアナウンス
バスのアナウンスですが、これは駅看板よりも安い費用で実行可能です。
また、毎日乗っている人は何度も同じフレーズを聞くので、刷り込みとして記憶に残りやすいメリットもあります。
ただ、駅看板と同様、効果の測定をしにくいため、ある程度余裕ができてから始めてもよいかもしれません。
アナログで集患する方法をいろいろとお伝えしましたが、基本的には
“お金をかけて集めるか” “手間をかけて集めるか”
の二択になります。
では、どちらが良いのかというと、最初はお金をかける方法で、その後は手間をかける方法かと思います。
理由は、お金をかける方法だと効果が比較的早く出やすいためです。
ただ、その反面、他のクリニックもすぐマネできます。
手間をかける方法は効果が遅いですが、誰でもできることではないので、長期的には影響が大きいと思います。
まずは、今回お伝えしたように、
いろいろな集患方法があることを知っていただき、
そして自分の医院や自分自身を認知してもらうために、
今何をすることがベストなのかを考えてみてはいかがでしょうか。
一般社団法人 歯の寿命をのばす会/歯科医「開業成功バイブル」主催
伊勢海 信宏
⇒ http://haisyakaigyo.com/