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【5】ミーティングでスタッフが変わる!

2016年06月06日

1)ミーティングを有効活用するには

こんにちは。
埼玉県開業の関根です。
今回は院内ミーティングについてお話をしていきたいと思います。

皆さんの医院では院内ミーティングを行っていますか?

このような質問をすると
「行っているが定期的にはやっていない」
「行いたいが何を話せばいいかわからない」
といった回答をいただくことがあります。

当院では、毎週水曜日の13時30分から15時に全体ミーティングを行っています。

普段ミーティングをされていない先生にとっては
「診療時間を減らしてまでミーティングをするのはちょっとなぁ」
という気持ちもあると思います。

でも、私の医院では、診療以外の時間をスタッフと共有し有効活用するようになったことで、診療時間そのものの質も上がったと感じています。

2)有効なミーティングと、そうでないミーティングの違い

「時間を決めて定期的にミーティングを行っています」という先生方でも、内容についてはさまざまだと思います。

先生がスタッフに対して、臨床についての知識を教えることもあるでしょうし、
外来講師を呼んで衛生士向けにセミナーをするということもあると思います。

当院でも、そのような形でミーティングの時間を使うこともあります。

しかし、このメルマガのテーマは、「スタッフの力を最大限に引き出すこと」ですから、
どのようにすればスタッフが積極的に参加できるミーティングになるかに焦点を当てていきたいと思います。

そのような点から考えると、講義型のミーティングだと、どうしてもスタッフは聞く側になってしまい、自発的な参加とはなりにくいようです。

後ほど詳しく述べますが、当院ではミーティングの時間中は私がスタッフに対して話をするというより、
スタッフに進行してもらい、スタッフ同士が話し合えるようにしています。

もちろん、最初からスタッフに「自由に医院の問題点について話してください」と言っても、
いろいろな意味で、院長を目の前にして自由な発言をするのは難しいでしょう。

スタッフから自由な意見が出るまでには、ステップが必要だとは思いますが、ここでは1つだけ自由な意見が出やすい雰囲気についてお話します。

自由に意見が出やすい雰囲気を作るのは、ズバリ、先生ご自身です。

なぜなら、せっかくスタッフが勇気を出して医院の問題点や課題について発言してくれても、それに対して院長である先生がいちいち不機嫌になったり、
言い訳がましくできない理由を言ったりして、せっかく出た意見を封印してしまうようではいかがなものでしょうか。

発言したスタッフは、言い損どころか、先生の気分を害するようなことを言ってしまったのではないかと思い、
二度と発言をすることはなくなってしまいます。

もう1つ大切なことは、
「出た意見に対して公平な視点で考える」ということです。

スタッフのなかには、
経験の長いスタッフ、短いスタッフ、責任ある立場にいるスタッフとそうでないスタッフなど、いろいろいな人がいます。

意見が出た時に、誰が言ったかではなく、
「その意見が客観的に的を得ているかどうか?」という見方でとらえ、
尊重することができれば、全員が参加しやすい雰囲気になります。

先生からしてみれば「まだ自分の仕事も一人前にできない人間が何を言ってるんだ」と思うこともあるかもしれませんが、
新人のスタッフのほうが患者さんに近い目線で医院の課題を見つけることができ、現場に生かしやすいということはよくあります。

ぜひ、先生ご自身が、皆が参加しやすい雰囲気を作ることでいろんな意見を取り出してみてください。

3)ミーティングの実際

では次に、当院でミーティング時に実際に行っていることを紹介したいと思います。

以前のメルマガで役割分担についてお話をしたのを覚えていますか。

少しおさらいをしましょう。

関根歯科医院は治療部門、予防部門、小児部門、支援部門に分かれており、
そのなかでもさらに技工、滅菌、在庫管理、啓蒙、データ管理といったように細分化され、それぞれ責任者がいます。

各責任者には医院理念に基づき、自分の部門がどのような結果を出していくのかを考えてもらいます。

そのなかで、優先順位の高いものを部門目標とし、それに基づいた年間目標、達成計画を立ててもらいます。

これらの内容は、ミーティングの場で発表してもらい、他のスタッフと共有します。

このように書くと、ずいぶん面倒なことをしていると思われるかもしれませんが、実際にやっている感覚としては
「~部門では今年の何月をめどに~をやります」
ということを全スタッフのいる場で宣言するという感じです。

ただし、その時に大事なのは単に「頑張ります!」というだけではなく、期限を決めることと達成したことが客観的にわかるようにすることです。

たとえば治療部門であれば「きちんと治療を受けてもらいます!」という目標では評価が難しいですが、
「患者さんの中断率を〇〇%以下にします」という目標であれば、達成したかどうかははっきりわかります。

予防部門であれば「メインテナンスをして患者さんの歯を守ります!」という目標は判断が難しいですが、
「メインテナンス患者における平均喪失歯数を〇本以下にします」という目標であれば誰もがわかるでしょう。

これは実際に当院でも用いている管理指標の例です。

あくまで大事なのは、1人ひとりの患者さんにしっかりと向き合い、その結果として数字にも表れてくることですが、
数値を意識して初めて取り組みに対する評価ができるということも事実です。

話を戻すと、各担当者は自分の役割における目標や計画をミーティングの場で全体と共有し、自分の責任として行っていきます。

その計画のなかで、マニュアルや手順書を作成することもありますし、新たな機材の購入やプロジェクトの提案をすることもあります。

また、ミーティングの場では各部門の取り組みや進捗状況を報告する場があります。

そこでは、各担当者は自分の取り組みの結果や進捗状況を報告します。

それに対して他のスタッフは聞き役となり、質問をしたりアドバイスをしたりすることで担当者に意見を与えます。

これをお互いに行うことで、全員がそれぞれの状況を共有するとともに、全体像を把握することができます。

もう1つ当院で大事にしているものが「報告書」です。

この報告書は、現場で何か望ましくないことが起きた時、再発の防止や改善の必要性を検討するために全体の場で報告してもらうものです。

このようにいうと、「何か失敗をしまったときに、それをみんなに報告するなんて、反省書や始末書のようだ」と感じるかもしれません。

しかし、決してそうではなく、あくまで起きてしまったことの原因を分析し、対策をとったり注意を促したりすることが目的です。

もちろん準備不足や意識の低さなど、仕事に対する姿勢に問題があった場合は改善すべき点は本人にありますが、
そうでない場合にはエラーが起きやすいシステムそのものの問題について検討し、必要があれば改善をします。

まとめると

 [1]各部門(担当)の目標、計画、進捗状況等についての報告と意見交換

 [2]日常業務における報告書、問題点についての検討

についてスタッフが中心になりミーティングを活用しています。

どちらの場合にもいえることですが、医院の改善のために発言してくれるスタッフに対しては、院長としてその積極的な姿勢に感謝をしています。

医院の中に風通しのいい雰囲気があることは何より大切だと感じています。

4)医院の今後を、みんなの頭で考える

今回はミーティングの活用法、とくにスタッフ参加型のミーティングを行っていく方法について当院の例をお話ししました。

実際にやっていて感じることは、ミーティングを行っていくなかで徐々にそれぞれのスタッフに変化が表れてくるということです。

自分の仕事を、自分以外の人も見ていると思うことで、より責任感を持つようになります。

また、役割を通じて、自分の言葉で発言する習慣が身に付きます。

さらに医院の変化に自分の発言や行動、頑張りが関与しているという実感をもつことで、
進んで工夫したり、意見を出したりするスタッフも出てきてくれます。

先生方も、医院の今後を1つの頭ではなくみんなの頭で考えることで、さらに大きな可能性が出てくるということを実感されるのではないでしょうか。

埼玉県北本市開業・医療法人惠仁会関根歯科医院
関根 聡
⇒ http://www.sekine-dc.jp/