2015年06月19日
(1) 運は人なり、人との巡り会いなり
「徒然草」の作者・兼好法師の言葉で「運は日にあらず、人なり」という言葉があります。
運を左右するのは「大安・仏滅」とか、なに年生まれといったことで決まるものではありません。
その人の性格が左右します。
明るく楽天的にものを見る性格の人には運がやってくるチャンスが多いというわけ。
つまり、「運は人なり」ということです。
また、あるアメリカの心理学者は「運はスパイダーズ効果である」と述べています。
くもの巣のように平素から幅広く人づき合いをしていくうちに、やがて思いがけない幸運にめぐり会います。
「運は日にあらず、人なり」、そして「人とのめぐり会いなり」と書き加えてもよいでしょう。
占いで「今日はいい日、悪い日」などと判断されることがありますが、たとえ運が悪い日や時期だったとしても、人とのつき合い方によって、よい運に変えていくことができるのです。
1人で考えたり、悩んでいてもうまくいかないことが、周りにいる人の助けによってうまくいくということもあります。
いざというときに、具体的にヘルプしてもらえるような人間関係をつくっていくということも大切でしょう。
しかし、運と人づきあいには、理屈では説明できない不思議な現象もあります。
「あの人と会った日は、なにをやってもうまくいかない」とか
「あの人の近くにいると、なぜか気分が明るくなって元気が出る」ということがありませんか?
人間の心やツキ・運くらい奇妙なものはないのです。
つき合うことによって相手からプラスのエネルギーを受けたり、逆にマイナスのエネルギーを受けるということは、確かにあります。
たとえば、芸能人でも無名だった人が、突然人気者になるときの周りの状況を調べてみると、必ずといっていいくらいその人の味方になってくれたり、一緒に組んでくれる人に恵まれて、ツキを伸ばしているものです。
仕事でも毎日の生活でも恋でも、誰を味方にするのか、誰と親しくなるかが重要になってきます。
極端な言い方をすれば、人生の運・不運のかなり多くは、人との出会いが影響しているともいえます。
このようなプラス効果を与えるような人との出会いを「運のピグマリオン効果」と呼んでいるのです。
(2) 運のピグマリオン効果ってなに?
ギリシャ神話に登場する「ピグマリオン」という神様が、女神の顔の彫刻を刻んでいるうちに、「この女神は美しい! 美しい!」と思うようになり、人間ではない女神像にホレてしまう、という話があります。
この話にちなんで、心理学では「人間は期待されたとおりの成果を出す傾向」を「ピグマリオン効果」といいますが、つまり、いいと思い込むことでプラスの運の作用を受けることを「運のピグマリオン効果」といいます。
この人の近くにいると「いい気を受ける」「何から何まで思うようになる」と思い込むことで、幸運がやってくるのです。
反対に「この人の近くにいるだけで、イヤなことばかりが起こる」とか、「あの人とは相性最悪!」と思い込んでしまうと、不運がさらに深刻なものになります。
(3) ピグマリオン効果を高める3つのカギ
では、毎日の診療や日常生活で、プラスのピグマリオン効果を高めていくためには、どのようにしたらよいのでしょうか?
それには、まず次の3つのことをいつも考えておく必要があります。
(a)自分の周りに「この人は、私にとって幸運を運んでくれるいい人だ」と思える人を探し出しておくこと。
なぜか気が合ったり、仕事がうまくいく人と、意識してつき合っていったり、仕事のアイデアを出し合ったりしてみると、院内の雰囲気がよくなり、プラス効果が出てきます。
どういった相手が幸運を運んでくれるか、よくわからない場合は、まずは顔やスタイル、センスが好みに合う人と一緒に仕事をする機会を増やしてみると、よい相乗効果が現れてくるでしょう。
(b)運命的な共通点があると思える人を探し出してみること。
近くにいるだけで元気が出てくるといった人と、何か自分と運命的な共通の特色がないかを確かめてみるのです。
たとえば、その人と星座も血液型も同じだとか、顔の同じところにホクロがあるといったようなことが、その運の強い人からプラスの気力を受けます。
そういった人を見つけたら、その運命的ポイントをきっかけに、積極的に会話をしていくようにしましょう。
患者さんにも、何か運命的な共通点を見つけておくことで、治療だけでなく、プラスαのよい効果が現れるはずです。
(c)運命的な出会いも大切です。
偶然出会って心惹かれたり、何度も偶然出会う――そのような偶然には意味があります。
そんな出会いを体験したら、意味のある偶然の出会いだと思ってください。
また、そういった出会いのないときには、進んで出会いたいと思ってみることです。
とくにイヤなことばかりあると思う人は、まずこの3つのことを、きっちり実行してみてはどうでしょうか?
自分でもびっくりするぐらい、ピグマリオン効果が現れ、運もアップするはずです。
また、相手に「手」を触れることで、プラスの「気」を受けることがあります。
人間の手には不思議な力があります。
手をピッタリ触れたり合わせているわけではないのに、近づけるとその手から熱気のようなものを受けることがあります。
その熱気は人によって違っています。
手を触れていないのに、まるで熱を出した人の手だと思うくらい熱く感じることもあります。
ピグマリオン効果の大きい人ほど、強い気を手から受けやすいのです。
先生方は、患者さんに手を触れることのある職業柄、ピグマリオン効果が期待できそうな患者さんと出会ったら、思いやりをこめて手を触れ治療することで、自分自身にもよい運をもらえることが期待できそうです。
日本占術協会名誉会長
浅野 八郎
⇒ http://www.asano-8.jp