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労務問題でつまずかないためのQ&A【5】スタッフを1日につき何時間まで働かせることができるのか?

2012年12月28日

Q 当医院では、患者さんのニーズに合わせ、診療時間を延長したいと考えているところです。
だからといって、スタッフの人員をすぐに増やすような余裕はありません。

そこで、現在いるスタッフの勤務時間数を長くして対応するようにしたいと思っているのですが、スタッフ1人ひとりが1日につき10時間ずつ働くようなシフト体制を組むことは可能でしょうか。

A 1ヵ月単位の変形労働時間制を適用すれば、1日10時間ずつ勤務させるようなシフトを組むことも可能です。
ただし、1日の勤務時間数を長くした分だけ、1ヵ月間における勤務日数を減らす必要が出てきます。

労働基準法では、1日については8時間、1週間については40時間を超えてスタッフを労働させてはならないことになっています。

ただし、歯科医院のように保健衛生業を営んでおり、かつスタッフ数が10人未満である場合には、この労働時間数の上限に特例が設けられています。
1日の労働時間数の上限が8時間であることに変わりはないのですが、1週間については44時間まで労働させることが可能であるとされています。

なお、ここでいう1日8時間、1週間44時間というのは、いわゆる所定内労働時間数のことですので、残業時間は除きます。
ちなみに、残業をさせるにはしかるべき手続き(就業規則等に残業を命ずることがある旨の定めをし、労使協定を締結すること)を踏んだ上で、実際に残業した時間に対する割増賃金の支払いをしなければなりません。

では、1日につき10時間労働させることを可能にするにはどうしたらいいのでしょうか。

たとえば、月曜日から木曜日までの4日間について、毎日9:00~21:00(休憩60分)の11時間について勤務させ、金曜日から日曜日までを休みとした場合、1週間の労働時間数は11時間×4日=44時間となりますが、1日については8時間を超えてしまいます。これでは、労働基準法違反となってしまいます。

このような勤務形態を適法に運用するための制度が「変形労働時間制」です。
変形労働時間制には、1週間単位、1ヵ月単位、1年単位など、いくつかの種類がありますが、上記のようなケースの場合は「1ヵ月単位の変形労働時間制」を適用することになります。

1ヵ月単位の変形労働時間制とは、1ヵ月間を平均して1週間あたりの労働時間数が44時間(スタッフ数10人以上の場合は、40時間)以内であれば、1日8時間を超えて労働させることができるという制度です。

たとえば、1ヵ月間の歴日数が31日の月であれば、月間の総労働時間数は31日÷7日×44時間(スタッフ数10未満の場合)=194時間51分となります。
1ヵ月間の総労働時間数が194時間51分以内になるのであれば、1日につき8時間を超えても、また1週間につき44時間を超えても労働基準法違反は問われないというわけです。

ただし、この変形労働時間制を適用した場合、1日もしくは1週間における労働時間数は長く設定できることにはなりますが、1ヵ月間における総労働時間数が増えることにはなりません。
そのため、1日の労働時間数を長く設定することになった分だけ、1ヵ月間における労働日数は減らさなければならなくなりそうです。

たとえば、1日につき10時間まで労働させたいという場合、上記のケースであれば、194時間51分÷10時間=19日となります。
1ヵ月間に19日間までしか勤務させることができず、残りの12日間は休日としなければならなくなってしまいます。
この点はシフトを組むときなどに注意が必要です。

この1ヵ月単位の変形労働時間を適用するにあたっては、就業規則(もしくはそれに準ずるもの)にその旨を定めていただくか、もしくは労使協定を締結していただくことになります。
10名未満の医院では就業規則の定めはないと思いますので、就業規則に準ずるスタッフのルール集のようなものに定めることでもかまいません。

【就業規則等の定め方の例】
(変形労働時間)
第○条 労働時間は、毎月1日を起算日とする1ヵ月単位の変形労働時間制によるものとする。
労働時間は次のとおりとし、班区分は各月がはじまる1週間前までに各スタッフに通知する。

 

   社会保険労務士法人 フォーブレーン
   代表   稲好 智子
 ⇒ http://www.fourbrain.co.jp