2012年03月05日
今回は、5つの行動基準のうち、4つめである「報告・連絡・相談」です。
これを縮めた「報連相~ホウレンソウ~」という呼び方も一般的になってきました。
このシリーズでご紹介している『行動基準』では、「私たちは、相手があって自分の存在価値が生まれる」こと、したがって「相手との関係性を高める」ことによって、自分自身の「生きがい働きがい」を得られるという考え方を基盤にしています。
1つめの行動基準である「挨拶」は、このことに気づくための行為であり、2つめの行動基準である「早起きと認識即行動」は、気づきを行動に移すことにより相手との関係性を高め、3つめの行動基準である「約束と計画」は、約束を守ることにより関係性を信頼に高めていこうとするものでした。
こうして見ると、5つの行動基準はバラバラ、あるいは並列に位置するのではなく、実は順番に積み上がっていく仕組みになっていることがわかります。
積み上がってきた行動基準の4つめは「報告・連絡・相談」で、院内のチームワークを高めていくために必須のものです。
「なんでって、聞かれたって、私は仕事をしたかったし、生活するためにはお給料も必要だし、クリニックが募集していて、面接を受けて採用されたからでしょう」との返答が聞こえてきそうです。
しかし、これはあなた自身を中心として考えた場合の返答です。
「行動基準」の基本的な考え方、相手の立場に視点を移すと、どうなるでしょうか。
院長は、ご自身が目指す歯科医療を提供していきたいとお考えになり、クリニックを開業されました。
患者さんが非常に限られた少ない人数ならば、自分1人で歯科医師・歯科衛生士・歯科助手・受付・事務の役割を果たしていけそうだけど、患者さんの人数が増えたら、すべての役割を果たすことはできないし、そもそも目指す歯科医療を提供できなくなってしまいます。
誰か歯科医師としての本来業務以外を、自分の代わりにやってくれる人が必要だということで、スタッフを採用することになります。
「報告・連絡・相談」では、院長の“代わりに”がキーワードになります。
少し硬い表現ですが、「代理観」――院長の代わりに任された仕事をさせていただいているという気づきがポイントです。
「代わりにさせていただいている」という視点に立てば、「報告・連絡・相談」は当たり前の行動になります。
みなさんがクリニックで仕事をする際には、必ず先輩・上司・院長から「こうしてください」という指示があります。
そのつど、明確な指示がある場合もあれば、どこかの時点で指示されて、その後は明確な指示がない場合もあります。
どちらにしても、指示があって仕事をしています。
ですから、仕事が終わったら必ず報告しなければなりません。
本当の終了時点は、仕事が終わった旨の報告をして、次の指示を受けた時です。
自分の仕事ぶりがマンネリ化すると、ついうっかりこのことを忘れてしまいます。
みなさんがしっかりと報告すれば、院長は安心して、また次の仕事を依頼しようという気持ちになります。
報告をおろそかにしていると、だんだん仕事が回ってこなくなり、最後にはクリニックにとって不要な人材と思われてしまいます。
あなたの職場にこうしたことは起こっていませんか?
連絡ミス・行き違いは、患者さんとの信頼関係・サービス品質、さらには生産性に関して、クリニックに決定的なダメージを与えます。
伝えた相手が本当に理解しているか、伝えたい事実だけではなく、その背景を共有できているか、これは伝える側の責任です。
念を押すのは当たり前です。
相談とは、自分では解決できないことについて、手助けしてもらうことです。
自分のできないことを白状するようなものです。
したがって、自分をしっかりと受け止めてくれて、その上でアドバイスしてくれる人に相談するものです。
相手の困っていることを、自分の困っていることとして受け止めることができる、そうした何でも相談される人になりましょう。
また、「困った!」と思った瞬間に、自分では解決できない事柄に直面しているのですから、すぐに相談しましょう。
自分の中に抱え込んでいても、問題は解決されません。
☆さっそく、やってみよう自分のミス、患者さんからの苦情など、良くない出来事はすぐに報告しましょう。
報告しにくい内容であっても、放置しておくとこじれるだけです。
念を押して、確実に相手に伝わったことを確かめましょう。
相手に復唱してもらうことも有効です。
>>株式会社創造経営センター コンサルティング事業部リーダー 齋藤 勝美
http://www.sokei.co.jp/kyoukai/index.html