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院内で5つの行動基準を徹底させていく

2012年01月05日

「院内の雰囲気が暗いような気がする」
「スタッフの動きに張りがないような気がする」
「自分は昼休みも取れないのに、スタッフは知らん顔をしている」
「患者さんのことを心配しているのは自分(院長)だけで、スタッフは真剣に患者さんのことを考えているのだろうか?」
……医院の経営、とくにスタッフのことを気にし始めると、夜もぐっすり眠れないという院長はいらっしゃいませんか?

「人材育成」イコール「スキルアップ」と受け止められることが多いようですが、人材育成とは、実は院長が抱くスタッフに関するこのような「心配事をなくすこと」なのです。
「人材育成」イコール「心配事をなくすこと」とご理解いただければ、院長の人材育成」への取り組み対する熱意と行動がパワーアップするはずです。
これから先、10年・15年と心配事を抱えたまま、医院を経営していくのでは、院長の体が持ちません。
「心配事をなくすこと」の答えは、ひと言で表現すると「イヤイヤ仕事をするスタッフからすすんで仕事をするスタッフへの転換」です。

その具体的な方法が、これからご紹介する「5つの行動基準を徹底させていく」ことです。
「5つの行動基準」とは――
【1】気づきと挨拶 → 相手に対して気づきのある挨拶は、接遇を超えて、周囲との信頼関係を高めます。
【2】早起きと認識即行動→ 朝の起き方を変化させると、時間の使い方が上手になり、行動力が高まります。
【3】約束と計画 → 目的・目標・方法をよく考えて行動に移す癖をつけることにより、自己実現を図れます。
【4】報告・連絡・相談 → 意思疎通により、周囲の人とつながりができ、1人ひとりの力が組織で発揮されます。
【5】整理・整頓と清掃・清潔(4S) → モノと心の4Sが生産性を高めます。

このように並べますと、「当たり前の、知っていることばかりだ」という声が聞こえてきそうですが、一つひとつについて“なぜ”という疑問を感じていない人が多いのです。
また、やっているつもりになっているだけで“徹底”されていません。
さらに、スタッフはこの5つが「イヤイヤからすすんでへ転換する」ための方法であることを学ぶ機会がありません。
“徹底”しないと「イヤイヤからすすんでへ転換する」ことはできません。
“徹底”するとは、周囲から素晴らしいと評価される状態を示します。
自分で“やっている”というレベルではありません。
では、どうしたら“徹底”できるのでしょうか。

その秘訣は
(1)上が徹底すれば、下が徹底する
(2)自分が徹底すれば、相手も徹底する
(3)家庭で徹底すれば、職場でも徹底する
この3点です。

要するに、院長自らが率先して取り組むということです。
院長が、
(1)医院にはスタッフの誰よりも早く出勤する
(2)出勤してくるスタッフを、自分から明るい笑顔で「おはようございます」の挨拶で迎える
(3)始業前にスタッフと一緒に清掃に取り組む
(4)朝礼で今日の予定や気づいたことを伝える
(5)どんなに忙しくてもスタッフから声をかけられたら手を止めて、相手の目を見て話を最後まで聴くこれをまず行うことです。

スタッフに「理論」を教える前に、まず「行動見本」になることです。
「子は親のいうことを聞かず、親のやることを真似る」のです。
スタッフは院長の行動を真似ます。
スタッフが真似るようになった段階で「理論」を教えると、自発的に次のステップへすすんでいきます。

まず、100日取り組んでみてください。
それでスタッフの行動に変化が見られなければ、まだ「行動見本」になっていないということです。
「相手は自分の反映」と受け止めて、もう100日取り組みましょう。
開業以来、今日までこうしたことに取り組んでこなかったわけですから、医院全体が、スタッフが変化するまでにはそれと同じくらいの期間がかかってもしょうがないと腹を据えてかかりましょう。

“ローマは三日にしてならず”です。
次回以降、「5つの行動基準」の一つひとつについて、“なぜ”と“実践法”をご紹介してまいります。
心配事をなくして、スタッフも院長も患者さんに向けて「すすんで関わっていく」医院づくりを目指しましょう。

>>株式会社創造経営センター コンサルティング事業部リーダー 齋藤 勝美
http://www.sokei.co.jp/kyoukai/index.html