2012年01月16日
第1回は「人を育てること(人材育成)」は「院長の心配事をなくすこと」であり、そのスタートが「5つの行動基準」であることをご紹介いたしました。
また、「人を育てること」の良さは、院長だけではなく、働くスタッフ1人ひとりにとっても、職業人として、社会人として生活を充実させることにつながり、“一石二鳥”の効果が期待できることです。
さっそく「気づきと挨拶」からスタートしましょう。
仕事する・生活するということは、すなわち人とかかわりを持つということです。
職場では、患者さんや先輩や同僚であったり、生活では友人や近隣の人たちです。
自分以外の人とかかわりを持たずに仕事や生活をすることはまず考えられません。
だとすれば、選択肢はただ一つ、「相手との関係を良くする」ことしかありません。
信頼関係を構築すると言い換えることもできるでしょう。
信頼関係の構築は「相手に関心を持つ」ことから始まります。
関心を持って対応していくと、理解がすすみ、信頼していこうというプラスの心が高まり、相手との関係も良好となります。
反対に、無関心だと相手の心の理解がすすまず、考え方や行動パターンが良くわからないため、不信感を持ちやすくなります。
相手を受容する心を育てていくためには、まず自分から周囲の人に関心を持つ行動が大切です。
身近な行動では「挨拶」があります。
自分から素直に明るい元気な挨拶をすることは、周囲に対する関心を高めて相手を受容する人間性向上につながります。
「挨拶をしましょう」――接遇やビジネスマナーの勉強は、だいたいここからスタートします。
「5つの行動基準」では、「気づきのある挨拶をしましょう」から始まります。
この違いを理解することが大切です。
私たちが多くの人たちに囲まれた状況の中で、自分の力を発揮するために大切なことは、人間は「生かされて生きていく」存在であるということに気づくことです。
私(自分)は自然・物・人(組織)があって、はじめて存在します。
また相手があって、自分の存在価値と良い働きが生まれてきます。
すなわち、相手の価値を認め、自己の存在価値を生み出している人ほど「人間性」が高いといえます。
また、価値の高い働きができます。
相手の価値を認識できない人ほど、その人間性は低くなり、相手を無視し、自己の存在価値のみを訴える自己中心的な人となります。
結果として、組織・相手との関係において、自己の存在価値をなくしてしまいます。
「気づきのある挨拶」とは、
(1)自己の存在基盤を認識し(自己への気づき)
(2)対象である相手を尊重する行為であり、最終的には
(3)相手の立場になって、相手のニーズに気づき、受容するための挨拶です。
ですから、漫然と無意識のうちに、ただ挨拶すればよいというものではなく、常に自己への気づきと、相手への心配りを持って行うことが大切です。
挨拶は「気づき」の表現ですが、伝えていくためには、相手の目に見える形と耳に聞こえる声が大変重要です。
(1)「相手があっての自分です」という謙虚な気持ち
(2)「おかげさまで」という感謝の気持ち
(3)「相手を重んずる」信頼と尊敬の気持ち
(4)「相手の心を受け入れます」という受容の気持ち
(5)相手の立場を思いやる気持ち・・・
こうした気づきを、「手を止めて相手と正対」し、「目を見て明るい声で発声」し、「それからきちんとお辞儀」をする、という形を通して相手に伝えていきます。
日頃良く見かける、発声しながらお辞儀をするという挨拶では、気づきを相手に伝えていくことは困難でしょう。
・出勤したら、職場の1人ひとりに正対し、「おはようございます」と明るい笑顔で元気な声を出し、そして、45度の角度になるように屈体し、形の整った挨拶をする。
・退勤する際、職場の1人ひとりに正対し、「お疲れさまでした。お先に失礼します」と明るい笑顔で元気な声を出し、そして、45度の角度になるように屈体し、形の整った挨拶をする。
接遇では「まず患者さんとの挨拶」が一般的ですが、5つの行動基準では「まずスタッフ同士の挨拶」です。
挨拶のある職場には、信頼に結ばれた人間関係が形成され、意思疎通が生まれて、組織活性化に結びつきます。
そしてはじめて患者さんを迎え入れる準備が整います。
>>株式会社創造経営センター コンサルティング事業部リーダー 齋藤 勝美
http://www.sokei.co.jp/kyoukai/index.html