2012年08月24日
今回は、みなさまから寄せられたカウンセリングに関するご質問にお答えしていくことにします。
【吉野真由美の答え】
まず、初診カウンセリングの時、患者さんはいったいどれくらい情報を持っていると思いますか?たとえば、
・保険診療がカバーしているのがどの範囲なのか?
・保険のみで治した歯の持ち具合は?
・治療後、どのような経過をたどるか?
・保険で治した歯を後で、やり直すとしたら、どんな治療方法があって、それがどれくらいの金額なのか?
・保険で治した歯が見ため的にOKなのか?
……など
多くの場合、初診時にたくさんの情報があって、その情報をもとに、患者さんが「保険診療で」という項目を選んでいるとは考えにくいのです。
情報不足の状態で、とりあえず一般的と思われる「保険診療で」を選んでいるのではないでしょうか。
そして、それを真に受け、歯科医師側が保険診療のみの提案しかしなかった場合には、後になって
「前歯にこんな黄色い歯を入れられた。あそこの歯医者ダメだ!」
などと、吹聴されかねないのです。
また、地域密着型の歯科医院さんでは、現実的には「保険診療で」に○をつける人が9割だと聞いています。
これら9割の「保険診療で」に○をつけた患者さんに対しても、
「情報収集のひとつとしてまずはお話を聞いてみてください」
といい、自費診療の提案、そして、その保険はきかないが上質で長く良い付き合いができる治療を選んだ場合のメリットと未来像をも、ぜひ伝えていただきたいものです。
患者さんにとっては、プロからの情報提供あった上での選択肢なんですね。
【吉野真由美答え】
まず、保険診療は何にもとづいているかご存知ですか。
それは、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」です。
つまり、幅広く、すべての人に行き渡らせるため、生きることを保障する、最低限度のことをまかなおう、という考えなのです。
医療においては、それが保険診療であり、教育の世界ではこれは義務教育となります。
ちょっと視点を変えて、考えてみましょう。
中学3年生が「私、中卒でいいです、中卒で!」といったら、あなたは何といいますか?
「わかりました」と、そのまま受け止めるでしょうか。
そうはしないと思います。
「中卒で社会に出るという考えもあるけれども、今は良い高校、良い専門学校や大学もあるし、どの進路を選ぶのかによって、その後の人生は、まったく違ったものになってくるんだよ。だから、まずはどんな進路があるのか、きちんと情報収集した上で、どのようにするのか、しっかり考えて、決めるべきだね」
などとお話するのではないでしょうか。
患者さんは、情報がない状態で、安易に「保険でいいんです、保険で!」という言葉を口にされます。
これに対して、「わかりました」と、そのまま受け止める先生がいたら、私はその人は少し冷たい人だな、水くさいな、と感じるのです。
情報がなく、中卒でいいという中学3年生に対して、良い高校などの進路、選択肢をていねいに説くように、患者さんにもお話しされてはいかがでしょうか。
話し方の例としては
「もちろん、保険適応範囲内で治療することはできます。でも、今は、歯科も高度先進技術がすすみ、保険はききませんが、治療後の噛み心地が抜群によく、美味しく食べられる治療、見た目がとてもきれいにできる治療、仕上がりも将来的な持ちもとても良い治療など、いろいろあります。将来への参考ということでもかまいません。まずは、お話しを聞かれて、情報収集されておかれませんか」
と話しましょう。
治療後の将来のことなども含め、プロとして、きちんと情報提供としてカウンセリングをされるとよいでしょう。
改めて情報を得て、患者さんの考えが変わることは往々にしてあります。
「保険で」といっていた患者さんに、きちんとお話したところ、
「やっぱり先生、こっちにしてください」
と自費を選ばれた例はいくらでもあります。
大事なことは、プロとして情報提供する、という姿勢を保つことです。
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>>(社)国際医療経営学会
代表理事 吉野 真由美
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