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【4】あたりまえ 4 :予約キャンセルは悪事ではない

2017年08月21日

こんにちは!

墨田区で開業しております、杉平(すぎひら)と申します。

このメルマガでは、サービス業としての歯科クリニック運営について、
当院で取り組んでいることをご紹介させていただきます。

今回は、予約キャンセルと治療中断の対策についてお話します。

歯科に限らず、予約を取り扱う業界すべてに共通することですが、
予約キャンセルが経営者を悩ませる1つの理由であることは周知の事実です。

キャンセル率がほぼそのまま売り上げ減少率に直結しますので、
経営アドバイザーやコンサルティング会社の目につきやすい事項でもあります。

某リサーチ会社によりますと、
予約キャンセルをしやすい業種の1位は飲食店で、
2位が歯科などのクリニック、
3位が美容室となっているようです。

また、予約キャンセルすると「気まずい」と感じる業種は、
1位が旅行・ツアー、2位が宿泊施設、3位がクリニックだそうです。

つまり、クリニックはキャンセルしやすいが
気まずく感じてしまう患者さんが多いということになります。

予約キャンセルの理由について、多い順に並べてみます。

1位:家庭・家族の事情(冠婚葬祭と重なってしまった、など)
2位:仕事上の事情(急に残業が入った、など)
3位:友人・知人関係の事情(友人の結婚式と重なった、など)
4位:予約した時刻に間に合わなかった
5位:他の施設に決めた
6位:行く必要がなくなったと感じた (痛みが取れた、成果や効果が出ない、など)
7位:予約したことを忘れていた

クリニックだけの集計ではないため信憑性に欠けますが、
5位以降はクリニック側でいくらでも対策ができる範囲だと思われます。

逆に、4位まではわれわれにできる対策はありません。

つまり、キャンセル対策をして大幅にキャンセル率を減らすことは非常に困難だといえます。

ただし、予約キャンセルには2種類あります。

キャンセルの連絡があったのか、なかったのかです。

連絡があれば、次回また来院してもらえると思われますが、
無断キャンセルの場合は、そのまま治療中断になってしまう可能性が非常に高くなってしまいます。

予約キャンセルする際に気まずくなるポイントについて、以下のようなアンケート結果が出ています。

1位:キャンセル料を支払わなくてはならない
2位:次回以降に予約しづらくなる(キャンセルすると顔を合わせづらい、など)
3位:迷惑をかけてしまっているかもしれない(準備が無駄になる、など)
4位:お詫びをしなくてはならない(一応約束をしているため)
5位:スタッフの対応が変わるかもしれない(嫌がられる)

これは何を表しているのか、想像はつくと思います。

無断キャンセルや中断率(離脱率)に大きくかかわってくる項目です。

キャンセル対策に躍起になりすぎると、患者さんは以上の項目を想像します。

キャンセルされるのはつらいことですが、治療自体を中断されてしまうのは、
われわれにとっても患者さんにとっても不幸な結果となってしまいます。

当院は小児や母親の患者さんが多いため、
キャンセル理由は「子どもの病気」がトップになっています。

われわれにはどうしようもありませんし、
何かしらの感染症を持ち込まれても困ります。

われわれがすべきなのは、単純にキャンセル率を減らすことではなく、
無断でのキャンセルや治療の中断を減らすことです。

患者さんに、「キャンセルするのは気まずい」と思われてはいけません。

逆に、「気軽にキャンセルできる」と思われてもいけません。

そこで、当院が実践している対策を紹介させていただきます。

[1]予約はチェアサイドでとる
[2]キャンセルの連絡には感謝する
[3]予約時間にこちらが遅れないようにする

それぞれ詳しく説明します。

[1]

次回予約は担当者がチェアサイドでとるようにしています。

次回どのような処置をするのか、どれくらい時間がかかるのかを説明しながら予約をとることで、
「次もこの人が担当してくれるんだ」
と思っていただけます。

受付で機械的に予約を取るは「患者さんとクリニックのお約束」ですが、
チェアサイドで担当者が「この時間でしたら私空いてます!」とお話しするのは「患者さんと担当者のお約束」となります。

「人と箱」の約束より、
「人と人」の約束のほうが心理的な重要度が高くなります。

友達と遊びに行く約束を当日キャンセルするのは心苦しいですよね。

[2]

先ほどお話ししたように、キャンセルの理由は私たちに解決できないことがほとんどです。

患者さんは基本的に「仕方なく」キャンセルします。

気まずいけれども、どうしても行けなくなってしまったと連絡をしてくれます。

そこは、「無断ではなくわざわざ連絡してくれてありがとう」という気持ちを伝えるべきです。

キャンセルの連絡があった場合、
手続きした後に必ず「ご連絡どうもありがとうございました」と話すことで、
「連絡して良かった」と思ってもらえます。

それを聞いていた待合室の患者さんも、
「キャンセルしても嫌に思われない」と感じてくれます。

[3]

予約時間に遅刻せず来院してくれた患者さんを待たせてしまうと、
「ここは時間を守らないずさんなクリニック」と思われます。

何らかのトラブルでたまに遅れてしまうのは仕方がないと思いますが、
それでも時間どおり来院された患者さんには謝罪すべきです。

こちらが時間を守らないと、患者さんも時間どおりに来てくれなくなります。

無断キャンセル率、中断率ともに5%を切っているのが理想だと思われます。

ぜひとも参考にしていただければと思います。

カルミアデンタルクリニック院長
杉平 亮介
http://kalmia-dc.com/