2007年01月15日
今までは、他人とのトラブルに巻き込まれ、当事者間の話し合いで紛争が解決しない場合は、裁判所の力を借りるしかありませんでした。しかし、裁判は時間と費用がかかり手続きが難しいのが現状です。そこで最近ADRという制度が注目されはじめました。
ADRとはalternative dispute resolutionの頭文字をとったもので、代替的紛争処理解決と訳され、仲裁、調停、あっせんなど裁判以外の方法でトラブルを解決する仕組みです。日本の中世においては、村落間の争いを双方で中人(ちゅうにん)を立てて解決してきたこともありましたが、近代国家では個人間の紛争を実力をもって解決することは禁止され、その代わりに裁判制度を用意しています。
しかし小額で、軽微な紛争に厳格な手続きを適用して時間と費用をかけることは適当ではありません。
そこで我が国では、平成16年12月1日に、ADR法・裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律が公布されました。
この法律では、紛争の当事者に紛争解決手続きの選択のための目安を提供し弁護士でない専門家(隣接法律専門職種)を調停人、あっせん人として活用を図っていますが法務省による認証が必要とし手続きの公正と適性を担保しています。
この法律に先がけて、平成18年4月から労働審判制度が始まりました。解雇や賃金など労使のトラブルを労使双方推薦の審判員2人と裁判官の三者が原則3回以内の調停で決着をつける制度です。
利用件数は3ヶ月で278件にも達し、この様な労働審判やADRを、多発する医事紛争にも利用しようと医療ADRの制度化に向けた議論が、秋の臨時国会で本格化しています。