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食物繊維と歯 その1

2007年05月07日

最近は、前にもまして、多くの歯科医から電話や手紙を頂戴する。「地域や学校で、食育についての話をして欲しいとの依頼を受けたが、どんな話をしてよいかわからない、何か面白い話を教えて欲しい」とのことである。そこで今回から、2回に分けて食物繊維と歯の関係について述べる。

太平洋戦争中、北太平洋のある島での出来事。アメリカ軍が上陸したとき、日本の守備隊は森に隠れた。このとき、アメリカ軍は、どの位の日本兵がいるのかわからなかった。

そこで、問題1。アメリカ軍は、日本兵の残していった“ある物”を元に、人数を推定した。さて“ある物”とは、次のどれだろう?
1:飯盒(はんごう)
2:兵器
3:ウンチ
正解は、3のウンチの量から予測したどうしてウンチから予想できるのだろう?

そこでヒントの問題2。
次の人々が食べている食べ物と1日のウンチの量を線で結んでみよう!
1 イギリスの学生  2 ウガンダの農民
a イモ       b 肉
あ 104g     い 470g
正解は、1―b―あ・2―a―い である。

ウガンダの農民は、なんとイギリスの学生の約5倍ものウンチをするそうだ。これは、食べ物に含まれる食物繊維の量の差であり、穀類が中心の食生活はウンチの量は多く、肉食傾向になると減少する。ちなみにウガンダの農民の中には、1キロ近くのウンチをする人もいるとのこと。それだけあれば、洗面器一杯くらいになりそうだ。ついでにある大学のゼミで調べたところ、日本の大学生の平均は約100gだそうだ。モンキ-バナナ大で約50g位なので、先生方もトイレで予想するとよい。

話は戻って、アメリカ軍は、自分たちの量を基準にしたために、大きく予想がはずれてしまった。当時の日本人は、穀類を多量に食べていたのでウンチの量が多く、約2倍の日本軍がいると予想したのだった。ウンチの量に関する“ウンチク”は、もっとある。

昭和30年代。日本に団地ができた時、水洗式のトイレも初めて導入された。その頃は、トイレの配水管がよく詰まり、団地内で汚物が溢れ出し苦情がでた。そう!これも、排水管の太さをアメリカの基準で決めていたからなのだこのようにウンチの量は、食物繊維の量で決まる。食物繊維は“人間の消化酵素で分解されない食品中の成分”と定義されている。例えば、ヒトはセルロースを消化することができない。だから、カサを増やせ大腸を刺激することで便通を促し便秘の予防となる。諺でも「固い食べ物は軟らかいウンチを、軟らかい食べ物は固いウンチをつくる。」と言われる。

さて便秘は、“痔”になりやすくなる。ある肛門外科の先生によると、手術をする前に、食物繊維をたくさん食べるとウンチが軟らかくなり自然に治る可能性があるそうだ。しかし玄米など食物繊維を多く含むものは、硬くて食べにくいので、口当たりの良い白米を食べるようになり、摂取量が減少しました。1日の目標値は20gであるが、現在ではその70%くらいしか食べられていない。そこで、日本では少なかった大腸がんが増加している。

さてかつての栄養問題は、栄養不足をどう解消するかが大問題であった。ところが現代では、過剰な栄養摂取による生活習慣病の予防が問題となっている。そこで、“食べカス”である食物繊維が見直されています。ここまでは、まるで栄養学の話・・と思われるでしょう。

次回はこの続きで、食物繊維と歯の関係について述べたいと思う。
 
 
□■ 岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/