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ふしぎ・ふしぎ 咀嚼と健康 ~その11~ ——禁煙と歯科医療——

2005年01月17日

ここ数年、歯科医師で禁煙を始めた先生が非常に増えた。

先日も、ある会合で雑談をしていたら10人中9人までが禁煙をしていた。
そのうち、6人までが最近まで喫煙者だったという。

全国的にも男性の80%が喫煙者だったが、50から60%にまで低下している。
しかし一方、若い女性では数%であったものが10%台に増加していると言う。

 
さてタバコと口腔領域の疾患に関する報告は多い。

タバコに含まれるニコチンの作用により、末梢血管が収縮し血液循環が悪くなり、歯周病に罹患しやすく治癒も難しい。

また歯肉には、メラニンの沈着により黒ずむ。

さらに、インプラントの成功率は、喫煙者では約10%低下するため、喫煙者にインプラント治療を行わないよう講習会では指導されている。

このため禁煙指導をしてからインプラントの相談をすることが常識化している。子どもにおいては、またタバコの煙を、二次的に吸い込む副流煙により齲蝕が2倍になると言われている。

前歯部の外傷で整復固定しても、血流が悪ければ予後も悪くなるに違いない。

そう考えれば、保護者には禁煙指導も必要である。

インドにおいては、噛みタバコのせいで、口腔ガンがもっとも多い。

 
さて、ここに1枚の写真がある。
これはイギリスBBC放送のインターネットで公開されている有名な写真である。(http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/1566191.stm

一見すると、一人は若々しい女性、もう一人は年配の女性に見える。
しかし、この2人は40歳前半の双子の姉妹である。
どうして、これだけ差が現れたのだろう?
これは20年におよぶ喫煙習慣だと言う。

一般に、タバコの煙には一酸化炭素が含まれるが、この濃度は自動車の排気ガスに等しい。

さて一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合するが、その力は二酸化炭素の約240倍である。

したがって、体の表面では、常に酸素不足の状態となり、これが早期に老化現象が起こる原因となる。

 
そう言えば、選手生命の長いプロ野球選手は、タバコを吸わないらしい。
巨人の工藤投手しかり、桑田投手しかり、大リーグで活躍中のイチロー選手はもちろんである。

ある週刊誌にヤンキースの松井選手が、某女優を喫煙者ということで交際を断ったと書かれていた。

1日に20本程度の喫煙者では、非喫煙時でも一酸化炭素と結合したヘモグロビンは3~6%であり、喫煙直後には10%を越えることもある。

ちなみに、富士山に継ぐ、日本の高峰である南アルプス剣岳の山頂でのSpO2(動脈血酸素飽和度)は、91%となり、喫煙直後の値に匹敵する。

標高0mと3,000mの酸素濃度の違いで、スポーツを行った場合、どちらが勝つかは明白である。

選手生命の長いスポーツ選手が、禁煙する理由がよくわかる。

 
歯科医師として、生涯にわたる歯の健康を願うならば、歯の寿命を低下させる要因は、徹底的に排除しなければならない時代に来ているように思う。

筆者もそう思ってタバコを止めた1人である。
 
 
( 岡崎先生のホームペ-ジ http://leo.or.jp/Dr.okazaki/  )