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リライニング ・・・・間接法

2002年12月02日

前回の第10項(ビバリーメール第36号-10/21配信号)では、義歯装着患者における生体の変化が欠損部顎提生じた際、それに追従する方法として直接リライニング法をご紹介しました。

今回は、直接法よりもより適合精度の高い、「間接リライニング法」について述べてみたいと思う。

まずこのシリーズにおいて、第1項で、顎提粘膜の機能時における形態の再現が大事なことであり、その機能圧とは、適正な咬合調整が行なわれた際の咬合力であることを述べてきました。

次に、その機能圧が加わった顎提粘膜を模型に再現するためには、硬化する印象材よりは硬化しない、ティッシュコンディショナーでのダイナミックインプレッション法だとか、コレクターワックスによるワックス印象法のほうが適切だと考えているということを述べてきました。

今回は、その応用編と考えていただいてよいと思います。

即ち、口腔内で、現在使用中の義歯を、適正に咬合調整をおこなっておき、ティッシュコンディショナーによって、ダイナミックインプレッションをおこなう。

当然では在りますが、顎提粘膜に傷や歪が生じている場合には、粘膜調整を行ない、粘膜が正常になった後に、ダイナミック印象を行なっていただきます。

ティッシュコンディショナーによる印象は、4日から8日ぐらいを目安にしていただければよいのですが、もうひとつ大事なことは、義歯床内面に敷いたティッシュコンディショナーの面が、「ピカッ」と光った面であるか否かも、大事な目安となります。

次に、院内ラボの先生方は、患者さんから適正にダイナミック印象がおこなわれた義歯をお預かりして、すぐにフラスキング操作を行なっていただければよろしいのですが、院外ラボをお使いの先生方には、ぜひお願いしておきたいことがあります。

それは、このフィクショナーというティッシュコンディショナーは、ゲル化をしている際に、可塑剤が抜けてしまうということが無く、軟らかさをいつまでも保ってくれる長所があるのですが、預かったフィクショナーを敷いた義歯に、石膏を注がずに長時間放置しておくと、変形してしまう恐れがあるので、すぐに義歯内面に石膏を注ぐか、ラボにすぐ取りに来ていただくかをしていただきたいことです。

義歯を預かる時間が、前もって決まっていたら、その時間にラボに取りに来てもらうのが一番よいと思います。

そして、その粘膜面を義歯床内面に再現するのであるが、出来る限り印象面に忠実に行ないたいため、重合時に変形量の少ないフィジオライナーを使用すると良いと考えています。

口腔粘膜の性質は粘弾性であるといわれているため、同じ粘弾性という性質を有するという意味合いからも、フィジオライナーは最適ではないでしょうか。

フィジオライナーは、加熱重合型の粘弾性レジンで重合条件はほぼ床用レジンと同様です、ぜひ試してみてください。