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知らなくてもいいかなぁ...?!(2) ~脳梗塞発症後~

2002年09月02日

大昔だと脳梗塞発症後は2ヶ月は絶対安静などと言われていました。

そして、3ヶ月目からリハビリなどを始めても、すでに2ヶ月も筋肉などの機能を使わないことによって筋の萎縮が高度に進み、リハビリがなかなか効果をあげることができないような、廃用性症候群の状態になってしまっているということが多かったようです。

また、発症後3ヶ月目くらいから、肩手症候群などという肩や手にジストロフィー様症状のしびれや痛みが出て来たりして、さらにリハビリが進まないということになってしまう患者さんも多いようです。

口腔の関係のことでは、ちょうどこの頃から、口唇を内側に巻き込む動作をする患者さんが出て来ます。

不幸にも、前歯部がしっかり残っており切端咬合気味の患者さんの場合には、上唇をどんどん咬んでいってしまい、口が血だらけの状態になる人も出てきます。

僕の経験では、唇が半分くらいなくなってしまった患者さんもいらっしゃいますが、鼻の下までなくなってしまった症例の経験がある先生のお話を聞いたことがあります。

このような場合は矯正用の厚めのソフトリテーナーを装着し、口唇を唇側に圧排することにより咬傷防止をはかる様にしています。

この脳梗塞発症後3ヶ月目というのは、体にとって病気の急性期から慢性期に移行する時期に当たるようで、神経や筋などが色々な思いもよらないような反応を示し始める時期と言えるのかもしれません。

最近は進んでいる病院ですと、内科的に問題がなければ場合によっては、脳梗塞発症後1週間くらいから積極的にリハビリを行い、廃用性機能低下を防止しているようです。

体を動かすことができなくても、寝かせたままベット自体を立ち上がる様に動かし重力を体軸方向にかける起立板という器具も効果があるそうで、リハビリテーションの進歩はすごいものです。

このような進んだ医療のおかげで脳梗塞を起こしても、つい10年ほど前と比べても社会復帰ができる患者さんが飛躍的に増え続けているのです。