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咬合採得のかんどころ

2002年04月15日

咬合採得・・・・
我々歯科医が、歯冠補綴や欠損補綴を行い、それらを装着した後、口腔内で残存諸組織に異害作用を及ぼすことなく調和を図り、機能回復をさせるためには、咬合関係の調和が大変重要であることを、経験上、誰でもが知っています。

しかし実際は、この咬合の調和を図ることが一番難しい問題です。
歯冠補綴においても大変なので、欠損補綴では言うまでもありません。

そこで今回は、この欠損補綴における咬合採得について、お話しようと思います。

「欠損補綴」といっても、固定性のブリッジのように、上下顎に残存歯牙同士の咬合接触関係がある場合は、その接触関係を重要視しておけば、比較的正確に咬合採得ができます。

しかし、残存歯牙同士に接触関係が無い場合の咬合採得に関しては、先人達がいろいろな方法を提示されてきていますので、それを正確に行えば、間違いなく咬合採得ができます。

また、その方法論にはいろいろなものがり、なおかつ、どれを取っても困難であることは言うまでもありません。

そこで、ひとつのヒントになればと考え、次のような提案をしてみようと思います。
 
 
●義歯製作時に、上下顎同時に製作するのではなく、上下どちらか一方ずつ製作してゆく。

●旧義歯がある場合には、その義歯を巧みに利用する方法を取る。
 
 
(1)まず、ティッシュコンディショナーを用いて動的印象を取り、その旧義歯における咬合状態を、シリコンやワックスにてバイトを取る。

(2)動的印象を取った義歯内面に石膏を流し、作業模型を作製する。

(3)対咬関係にある、義歯の咬合面を含んだ外形を印象取得しておき、それを対合歯として使用する。

(4)(2)で作業模型を作製する際に、ワックスバイトまたはシリコンバイトを用いて、咬合器として使用する。

(5)作業模型用の石膏が硬化するまでの時間は、さほど長い時間ではないので、患者さんに診察室で待っていただいても、大丈夫だと思います。
 
 
このようにすることで、蝋提を使用して行う咬合採得より、より正確に行え、我々歯科医の手間もかなり省けると思います。